第1編 人事行政

第2部 公務組織の人材マネジメントにおけるデータやデジタルの活用の可能性

第2章 選ばれる組織となるために

第2節 「働く人の意識に関するアンケート~企業と公務の比較~」の実施

3 調査結果

(1)「職場満足度」と「職場推奨度」の状況

職場満足度を問う設問(問:あなたは、いまの職場で働くことに満足している。)への回答において、国家公務員と民間企業従業員との間で大きな違いは見られなかった(図2-4)。

「あなたは、いまの職場で働くことに満足している。」という質問への回答状況
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職場推奨度を問う設問(問:あなたは、現在の職場を親しい友人や知人に勧めたいと思う。)への回答において、民間企業従業員は、企業規模が大きいほど、肯定的回答(「全くその通り」又は「どちらかといえばその通り」をいう。以下同じ。)の割合が高い傾向が見られた。国家公務員は、従業員300人以上の企業に所属する民間企業従業員と比べると、肯定的回答の割合が低かった(図2-5-1)。

また、年齢層別で比べると、民間企業従業員は、おおむね高い年齢層ほど、肯定的回答の割合が低く、否定的回答(「全く違う」又は「どちらかといえば違う」をいう。以下同じ。)の割合が高い傾向が見られた。一方、国家公務員では、40歳台までは高い年齢層ほど、肯定的回答の割合が低く、否定的回答の割合は高かった(図2-5-2)。

「あなたは、現在の職場を親しい友人や知人に勧めたいと思う。」という質問への回答状況
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「あなたは、現在の職場を親しい友人や知人に勧めたいと思う。」という質問への回答状況(年齢層別)
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(2)「業務量」、「人事異動」及び「人事評価」に関連する項目

前節で述べた職員意識調査の再分析結果において、若年層職員の低評価グループでは、「業務量」、「人事異動」、「評価(人事評価)」という単語が「府省庁の職場満足度」の評定理由に関する自由記述欄に多く見られた。これらに関連する項目についての調査結果は以下のとおりである。

ア 業務効率化と人員配置への評価

業務効率化への評価を問う設問(問:あなたの職場では、業務効率化の取組みが積極的に行われている。)への回答において、民間企業従業員は、おおむね、企業規模が大きいほど、肯定的回答の割合が高く、否定的回答の割合が低い傾向が見られた。国家公務員は、従業員300人以上の企業に所属する民間企業従業員と比べると、肯定的回答の割合が低かった(図2-6)。

「あなたの職場では、業務効率化の取組みが積極的に行われている。」という質問への回答状況
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人員配置への評価を問う設問(問:あなたの職場では、適切な人員配置が行われている。)への回答において、民間企業従業員は、企業規模により回答に大きな違いは見られなかった。国家公務員は、民間企業従業員と比べ、肯定的回答の割合が低く、否定的回答の割合が高い結果となった(図2-7-1)。

また、年齢層別で比べると、国家公務員は、40歳台までの否定的回答の割合がそれぞれの同年齢層の民間企業従業員より高かった(図2-7-2)。

「あなたの職場では、適切な人員配置が行われている。」という質問への回答状況
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「あなたの職場では、適切な人員配置が行われている。」という質問への回答状況(年齢層別)
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イ 人事異動と人事評価に対する納得感

人事異動への納得感を問う設問(問:あなたは、これまでの自分自身の人事異動に納得している。)と人事評価への納得感を問う設問(問:あなたは、これまでの自分自身に対する人事評価に納得している。)への回答において、いずれも国家公務員と民間企業従業員との間に大きな違いは見られなかった。なお、従業員5000人以上の企業に所属する民間企業従業員は、いずれの質問においても肯定的回答の割合が約5割となっていた(図2-82-9)。

「あなたは、これまでの自分自身の人事異動に納得している。」という質問への回答状況
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「あなたは、これまでの自分自身に対する人事評価に納得している。」という質問への回答状況
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(3)従業員(職員)を大切にする風土

「あなたの職場では、従業員(職員)を大切にする風土がある。」という問に対し、民間企業従業員は、企業規模が大きいほど、肯定的回答の割合が高く、否定的回答の割合が低い傾向が見られた。

従業員5000人以上の企業に所属する民間企業従業員は、肯定的回答の割合が国家公務員と比べ高く、否定的回答の割合は国家公務員よりも大幅に低かった(図2-10-1)。

また、年齢層別で比べると、肯定的回答の割合について、40歳台以外の年齢層においては、国家公務員と民間企業従業員との間で大きな傾向の違いは見られなかったが、否定的回答の割合については、国家公務員と民間企業従業員のいずれにおいても、年齢層によるばらつきがあり、割合が最も高くなる年齢層は、国家公務員が30歳台であるのに対し、民間企業従業員は50歳台であった(図2-10-2)。

「あなたの職場では、従業員(職員)を大切にする風土がある。」という質問への回答状況
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「あなたの職場では、従業員(職員)を大切にする風土がある。」という質問への回答状況(年齢層別)
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(4)転職意向

転職意向に関する設問(問:「あなた自身は、今後、転職することを考えていますか。」)への回答において、民間企業従業員は、企業規模により、転職意向がある者(「現在、転職活動中である」、「数年以内に転職することを考えている」又は「将来的には転職することを考えている」と回答した者をいう。以下同じ。)の割合に一定の傾向は見られないが、「全く考えていない」と回答した者の割合は、従業員数が1000人以上の企業では比較的高く、約4割であった。国家公務員では、「全く考えていない」と回答した者の割合は45%を超えていた(図2-11-1)。

転職意向がある者の割合は、民間企業従業員の方が年齢層による差が大きく、より若い層が積極的に転職を志向している。国家公務員の転職意向がある者の割合は、30歳台以下、60~65歳で大きくなる。一方、国家公務員と民間企業従業員のいずれも、高い年齢層ほど、転職を「全く考えていない」と回答した者の割合が高い傾向があり、転職意向に係る意識は年齢層間で差がある(図2-11-2)。

「あなた自身は、今後、転職することを考えていますか。」という質問への回答状況
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「あなた自身は、今後、転職することを考えていますか。」という質問への回答状況(年齢層別)
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(5)働く上で重要視するもの

「働くうえで、自分にとって最も重要と感じること」として八つの選択肢から一つを選ぶ質問に対する回答状況について、回答者全員を母集団とした結果と、転職意向に関する設問において「現在、転職活動中である」、「数年以内に転職することを考えている」及び「将来的には転職することを考えている」と回答した者をそれぞれ母集団とした結果との比較を行った。

国家公務員、民間企業従業員のいずれも、「現在、転職活動中である」及び「数年以内に転職することを考えている」と回答した者をそれぞれ母集団とした結果は、全員を母集団とした結果と比較して、「自分の知識・スキルの専門性を高め、活用できること」を選択した者の割合が高く、「経済的な安定」と「ワーク・ライフ・バランス」を選択した者の割合は低くなった(図2-12)。

また、「将来的には転職することを考えている」者は、回答者全員を母集団とした結果に近い傾向を示した。そのため、以下(6)及び(7)の項目については、特に転職意向が強い者の意識の違いを明らかにするため、回答者全員を母集団とする結果と、「現在、転職活動中である」又は「数年以内に転職することを考えている」と回答した者(以下「積極的な転職意向がある者」という。)に限定した結果を比較した。

「働くうえで、自分にとって最も重要と感じること」という質問への回答状況
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(6)スキルの保有状況の組織内での共有

「あなたは、業務に関する知識・スキルの保有状況を組織内で共有・公開したいと思う。」という問に対して、回答者全員を母集団とした結果で国家公務員と民間企業従業員を比較すると、両者の回答はほぼ同じ傾向を示した。積極的な転職意向がある者に限定した結果では、国家公務員と民間企業従業員のいずれも、スキルの保有状況の組織内での共有について、肯定的回答の割合が高かった(図2-13)。

「あなたは、業務に関する知識・スキルの保有状況を組織内で共有・公開したいと思う。」という質問への回答状況
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(7)上司や人事担当者からの支援

「あなたは、上司や人事担当者には、従業員(職員)一人一人のキャリア志向、成した成果などについて、もっと丁寧に向き合ってほしいと思う。」という問に対して、国家公務員、民間企業従業員のいずれも、積極的な転職意向がある者は、回答者全員を母集団とした場合と比較して、肯定的回答の割合が高く、特に、「全くその通り」と回答した者の割合が高かった(図2-14-1)。

年齢層別に比較すると、国家公務員、民間企業従業員のいずれも、低い年齢層ほど、肯定的回答の割合が高い傾向にあり、30歳未満では約5割であった(図2-14-2)。

「あなたは、上司や人事担当者には、従業員(職員)一人一人のキャリア志向、成した成果などについて、もっと丁寧に向き合ってほしいと思う。」という質問への回答状況
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「あなたは、上司や人事担当者には、従業員(職員)一人一人のキャリア志向、成した成果などについて、もっと丁寧に向き合ってほしいと思う。」という質問への回答状況(年齢層別)
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