はじめに

人事院は、公務の民主的かつ能率的な運営を国民に対し保障するという国家公務員法の基本理念の下、人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等その使命の達成に努めてきており、人事院勧告制度を始めとする公務員制度は、行政運営の基盤として重要な機能を果たしている。

令和6年8月の人事院勧告では、多様な人材が集まり、一人一人が高い志を持って職務を遂行できる魅力ある公務へ向けた改革の一環として、給与制度のアップデートについて勧告するとともに、「多様で有為な人材の確保」、「職員の成長支援と組織パフォーマンスの向上」、「Well-beingの実現に向けた環境整備」の3つの柱から成る人材確保に向けた抜本的施策と更なる改革の全体像を示した。

さらに、本年3月には、各界有識者による「人事行政諮問会議」から、最終提言をいただいた。同提言では、公務の人材確保が危機的状況であり、公務組織の生産性を高めつつ、国の未来を支えるため、人材マネジメントのパラダイムシフトが必要との課題認識の下、「使命感を持って意欲的に働ける公務」、「年次に縛られず実力本位で活躍できる公務」、「働きやすく成長を実感できる公務」、「多くの人から「選ばれる」公務」の4つの観点から施策が示されている。同提言を受け止め、公務員人事管理の更なるアップグレードを講じていくこととしている。

本報告書は、主として令和6年度における人事院の業務の状況をまとめたものであり、第1 編は「人事行政」全般について、第2編は「国家公務員倫理審査会の業務」の状況について記述している。このうち第1編は3部からなり、第1部は、令和6年度における人事行政の主な動き並びに人事行政諮問会議の概要及び同会議による最終提言について記述している。次いで第2部では、「「選ばれる」公務職場を目指した魅力向上・発信戦略~働く場としての公務のブランディング~」と題し、公務のブランディングの必要性、公務職場の魅力、魅力の公務職場内への浸透及び公務外への発信について提案を行っている。そして第3部では、令和6年度の人事院の業務状況について、各種資料を掲載して記述している。

本報告書により、人事行政及び公務員に対する理解が一層深まることを願うものである。

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