第1編 人事行政

第3部 令和6年度業務状況

第2章 人材の育成

第4節 テーマ別研修等

人事院は、公務における人材育成や、公務を取り巻く様々な課題への対応に必要となる知識及び能力の向上を図る「テーマ別研修」を実施している。また、各府省において職員の能力の向上をより効果的に図るための技法を修得させるなど研修の指導者を養成する「指導者養成研修」を実施している。

1 テーマ別研修

(1)幹部に対する役割認識の徹底のための研修

各府省の幹部職員に対し、それぞれの組織を牽引する立場としての役割認識を徹底すること、また、幹部公務員としての高い見識を持ち、国民の信頼を得ながら公正に職務を遂行するよう、倫理感・使命感のかん養を図ることを目的として幹部に対する役割認識の徹底のための研修を実施している。令和6年度は、新任局長級職員を対象として、組織マネジメントの重要性に係る意識啓発に重点を置いた研修を、全2回、対面及びオンラインで実施し、計70人が参加した。

(2)昇任時相談窓口等体験研修

原則として直近1年間に本府省の審議官級に昇任した職員を対象に、国民と行政が直接交わる最前線の現場を改めて体験する機会を提供し、「消費者・生活者を主役とする行政を担う国家公務員の意識改革」を図ることを目的として昇任時相談窓口等体験研修を消費者庁と共催で実施している。

本研修の受講生は、①消費生活センター等7種類の相談窓口機関のいずれかに赴いて、消費者・生活者の声に触れる業務を体験する「業務体験研修」と、②業務体験研修で得られた経験や気付きについて、研修参加者同士で意見交換を行う「事後研修」を行う。令和6年度は、23府省等から 147人が参加した。

(3)パーソネル・マネジメント・セミナー

各府省の管理職員が広くマネジメントの知識や理論、ノウハウに触れる機会を設け、今後のマネジメント能力向上の契機とすることを目的として、平成22年度から管理職員を対象にパーソネル・マネジメント・セミナーを実施している。

令和6年度からは、本院において、地方機関に勤務する管理職員まで対象者を広げた上でオンライン配信により実施することとし、令和6年度は「ネガティブ・フィードバック」をテーマにオンライン及びアーカイブ配信で実施し、合わせて1,455人が受講した。

(4)課長補佐級・係長級職員のためのマネジメントスキル基礎研修

行政の現場において実務やチーム運営の要を担う課長補佐・係長に対して、マネジメントに係る基礎的な知識やスキルを付与し、各府省の現場の円滑かつ健全な運営を支援することを目的に、令和6年度から、新たに課長補佐級・係長級職員のためのマネジメントスキル基礎研修を開始した。

令和6年度は、基礎的なマネジメント知識を網羅的に獲得するためのe ラーニング研修及び獲得した知識を実践につなげるためのロールプレイ研修(集合・オンライン)を実施し、eラーニング研修を3,258人、ロールプレイ研修を108人が受講した。

(5)キャリア支援研修(キャリア支援研修20、キャリア開発セミナー30)

職員の主体的なキャリア形成の支援は、人材育成、組織の活性化や人材確保の観点からも重要な課題となっている。人事院では、職員一人一人の主体的なキャリア形成を支援するため、他府省の同世代の職員とのディスカッションを通して、他者とは違う自分の個性や仕事への価値観を捉え、自分らしい働き方について考える契機となるよう、各種研修を実施している。

ライフイベントの多い30歳台の職員に対しては、自分らしい生き方や働き方を考える機会として、平成30年度から、キャリア開発セミナー30を実施している。これまでの職業人生を振り返りながら、自分の強みや特徴、仕事への価値観等を自己分析し、今後の人生について深く考えて自律的に歩むための契機としている。

令和4年度からは、20歳台職員向けにキャリア支援研修20も開始し、学生時代から受けてきたキャリア教育を実際の職務上でどのようにいかすかを考える機会を提供している。

この二つの研修は、令和5年度から、人事院の地方事務局(所)での実施も順次拡大してきており、令和5年度には、北海道・中部・沖縄の3事務局(所)、令和6年度には、東北・関東・九州が加わり6事務局において実施した。令和7年度には、全地方事務局(所)での実施を予定している。令和6年度の両研修の実施状況は、表2-8のとおりである。

キャリア支援研修の実施状況
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(6)各府省キャリアコンサルタント養成研修

各府省がキャリア形成支援を体系的に進めていくことができるよう、その中核的な役割を果たすことが期待される職員の育成を図るため、国家資格であるキャリアコンサルタント資格の取得を支援するための研修を新たに開始し、令和6年度は、25人の参加者が全員修了し、令和7年3月の試験で19人が合格した。

(7)実務経験採用者研修

民間企業からの中途採用者等を対象に、「国民全体の奉仕者」として求められる服務規律に関する知識や公務員としての倫理感のかん養を図るとともに、公務職場への適応を支援すること等を目的として、平成14 年度から実務経験採用者研修を実施している。

(8)メンター養成研修

各府省における「メンター制度(人事当局の一定の関与の下、先輩職員が後輩職員の申出等を受けて助言等の支援を行う仕組み)」実施支援の一環として、メンターとなることが予定されている職員を対象に、職場におけるメンター、メンタリングに関する基本的な知識とコミュニケーション・スキルを習得させることを目的に、平成18年度から、メンター養成研修を実施している。

令和6年度は、オンライン及び対面で実施し、実施状況は、表2-9のとおりである。

メンター養成研修の実施状況
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(9)女性職員の活躍を支援するための各種研修

公務における女性職員の登用拡大を促進するため、各府省合同の研修を通じた相互啓発等による能力伸長と、マネジメント能力開発や人的ネットワーク形成の機会の付与を目的として、平成13年度から、女性職員を対象としたキャリア形成支援のための研修を本院と地方事務局(所)において実施している。令和6年度の実施状況は、表2-10のとおりである。

令和6年度からは、本院で実施している「女性職員のためのキャリア支援研修」を内閣官房内閣人事局との共催とし、広くキャリア形成に悩みを抱える女性職員を対象に実施した。

また、これまで女性職員のみを対象としていた育児中の職員向けの研修を「共働き・共育て時代の両立・キャリア支援セミナー」として男性職員や上司等も対象とし、内閣官房内閣人事局との共催で実施した。

女性職員を対象とした研修の実施状況
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(10)多様な人材の活躍のためのオンラインセミナー

女性職員登用推進のための環境整備を目指し、平成26年度から、「女性職員登用推進セミナー」も実施している。令和5年度からは、近年の複雑高度化する行政課題へ対応するため、女性を含めた多様な人材がその能力を発揮できる職場環境整備が必要であることから「多様な人材の活躍のためのオンラインセミナー」に改編した。令和6年度は、多様な人材が活躍するための環境整備の担い手となる各府省の管理職員が様々な視点から人事関連施策に係る意識啓発及び知識習得を行うことを目指し、「多様な人材が活躍できる職場環境づくりとマジョリティ特権の理解」をテーマとして取り上げ、合わせて722人が受講した。

2 指導者養成研修

人事院が令和6年度に実施した指導者養成研修のねらい及び実施状況は、表2-11 及び表2-12のとおりである。

指導者養成研修のねらい

指導者養成研修の実施状況
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