第1編 人事行政

第3部 令和6年度業務状況

第2章 人材の育成

第3節 派遣研修

人事院は、各府省の行政官を国内外の大学院等に派遣する派遣研修の制度を運営、実施しており、応募者の研究計画や人物に関する厳格な審査を通じ、国民全体の奉仕者としての自覚、研究の有用性、公務に対する成果還元の意欲等について様々な角度からチェックするなど、厳正な運用に努めている。

1 在外研究員制度

(1)行政官長期在外研究員制度

本制度は、行政の国際化が進展する中で、国際的視野を持ち、複雑・多様化する国際環境に的確に対応できる行政官の育成を図ることを目的に、各府省の行政官を原則として2年間を限度として諸外国の大学院に派遣し、研究に従事させる制度である(博士課程へ派遣する場合は延長・再派遣の仕組みあり。また、令和6年度派遣から1年制の大学院に1年間のみ派遣するコースを新設)。

派遣される研究員は、在職期間が10年未満の行政官(令和7年度派遣からは、各府省が人事管理上必要と認める場合は10年以上の行政官も応募が可能)で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査及び大学院の選考を経て決定している。

令和6年度は148人を派遣した。派遣先内訳は、表2-4のとおりである。

令和6年度行政官長期在外研究員派遣状況
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昭和41年度の制度発足以来、令和6年度までに派遣した研究員の総数は4,678人で、各年度の派遣者数は、昭和62年度以降着実に増加しており、平成5年度には50人、平成12年度には100人を超えた。平成26年度以降令和6年度までの新規派遣者数は、令和2年度を除き140人以上で推移している。

行政官長期在外研究員新規派遣者数の推移
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派遣した研究員の総数を派遣先国別の内訳で見ると、アメリカ3,256人、イギリス908人、フランス203人、ドイツ97人、カナダ54人、オーストラリア41人、中国30人、シンガポール27人、オランダ26人、スウェーデン8人、韓国5人、その他の国(地域)23人となっている。

本制度の修了者は、帰国後、留学中に得た知見、人的ネットワークをいかし、国際会議、国際交渉、海外勤務等国際的な業務に従事したり、国内にあっても、国際的視野に立った行政施策の企画・立案等の業務を担ったりしているなど、我が国行政の国際対応という点で大きな役割を果たしている。

(2)行政官短期在外研究員制度

本制度は、諸外国において専門的な知識、技能等を習得させることにより、増大する国際的業務に適切かつ迅速に対処し得る人材の育成を図ることを目的に、各府省の行政官を原則として1年間を限度として、諸外国の政府機関等に派遣する制度である。

派遣される研究員は、在職期間がおおむね6年以上で、かつ、職務の級が行政職俸給表(一)の3級以上(他の俸給表についてはこれに相当する級)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査を経て決定している。研究員は、諸外国の政府機関、国際機関等の派遣先でそれぞれの課題について調査・研究活動に従事している。

令和6年度は、24人を派遣した。派遣先内訳は、表2-5のとおりである。

令和6年度行政官短期在外研究員派遣状況
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昭和49年度の制度発足以来、令和6年度までに派遣した研究員の総数は1,616人で、派遣先国別の内訳で見ると、アメリカ754人、イギリス326人、オーストラリア102人、フランス76人、ドイツ67人、カナダ56人、その他の国(地域)235人となっている。

本制度の修了者は、帰国後、国際的視野をいかした業務に携わるなど各方面で活躍をしている。

(3)リーダー派遣コースの新設

管理職層の職員の国際交渉力の強化、高度な判断力やリーダーシップ、マネジメント能力等の向上を図る観点から、行政官短期在外研究員制度の一つとして、リーダー派遣コースを新設し、本府省の課室長級の職員4名を、オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院のリーダー養成プログラムに派遣した。

2 国内研究員制度

本制度は、複雑かつ高度化する行政に対応し得る専門的な知識、技能等を有する行政官の育成を図ることを目的に、各府省の行政官を国内の大学院に派遣し、研究に従事させる制度である。

(1)行政官国内研究員制度(博士課程コース)

本コースは、各府省の行政官を原則として3年間を限度として、国内の大学院の博士課程に派遣し研究に従事させる制度である。

派遣される研究員は、在職期間がおおむね2年以上25年未満で、かつ、職務の級が行政職俸給表(一)の2級から9級まで(他の俸給表についてはこれに相当する級)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査及び大学院の入学試験を経て決定される。

令和6年度は、5人を新規で派遣した(表2-6)。

(2)行政官国内研究員制度(修士課程コース)

本コースは、各府省の行政官を原則として2年間を限度として、国内の大学院の修士課程に派遣し研究に従事させる制度である。

派遣される研究員は、在職期間がおおむね2年以上18年未満で、かつ、職務の級が行政職俸給表(一)の1級から6級まで(他の俸給表についてはこれに相当する級)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査及び大学院の入学試験を経て決定される。

令和6年度は、13人を新規で派遣した(表2-6)。

令和6年度行政官国内研究員(博士課程コース・修士課程コース)派遣状況
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3 留学費用償還制度

国家公務員の留学の実効性を確保するとともに、留学に対する国民の信頼の確保に資すること等を目的として、平成18年6月19日に留学費用償還法が施行された。同法に基づき、国の機関の職員が留学中又はその終了後原則として5年以内に離職した場合、その職員は、留学費用相当額の全部又は一部を償還することとされている。

令和5年度に新たに留学費用の償還義務が発生した件数は85件(特別職国家公務員33件を含む。)である(表2-7)。

留学費用償還義務者の状況
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