第1編 人事行政

第3部 令和6年度業務状況

第3章 職員の給与

第2節 給与法の実施等

1 給与法の改正に伴う規則改正等

民間給与との較差に基づく給与改定に関する規則は、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律」(令和6年法律第72号)の公布日である令和6年12月25日に公布・施行し、下記(1)オのうち総合職試験(大卒程度試験)採用者の初任給について別途の額を設ける措置の適用を受ける職員を定めた規則の廃止、特定任期付職員の俸給月額の切替えに関する規則を除き、令和6年4月1日に遡及して適用した。ただし、下記(1)ウのうち令和7年度以降の勤勉手当に関する規則は、令和7年2月5日に公布し、同年4月1日から施行した。また、給与制度のアップデート等に関する規則についても、同年2月5日に公布し、同年4月1日から施行した。

主な制定・改正の内容は次のとおりである。

(1)民間給与との較差に基づく給与改定に関するもの

ア 俸給の特別調整額

俸給表の改定によって職務の級における最高の号俸の俸給月額が引き上げられることに伴い、当該俸給月額の100分の25に相当する額となっている俸給の特別調整額の支給額を改めるため、規則9-17(俸給の特別調整額)の一部を改正した。

イ 初任給調整手当

医療職俸給表(一)の平均改定率を踏まえた手当額の引上げを行うため、規則9-34(初任給調整手当)の一部を改正した。

ウ 期末・勤勉手当

期末・勤勉手当の支給月数が引き上げられたことに伴い、令和6年12月期及び令和7年度以降の勤勉手当の成績率の基準を定めるため、規則9-40(期末手当及び勤勉手当)の一部を改正した。

エ 非常勤職員の委員等の手当

非常勤の委員、顧問、参与等に支給される手当について、指定職俸給表の改定状況を踏まえた支給限度額の引上げに伴い、あらかじめ人事院の承認を得たものとみなす額の引上げを行うため、規則9-1(非常勤職員の給与)の一部を改正した。

オ その他

総合職試験(大卒程度試験)採用者の初任給について別途の額を設ける措置の廃止に伴い、この措置の適用を受ける職員が降格した場合の号俸を定める規定を削除するため、規則9-8(初任給、昇格、昇給等の基準)の一部を改正するとともに、規則9-99(給与法別表第1イの備考(二)等の規定の適用を受ける職員)を廃止した。また、俸給表の引上げ改定に伴い、新たに規則9-152(令和6年改正法附則第2条の規定による最高の号俸を超える俸給月額を受ける特定任期付職員の俸給月額の切替え)を制定した。

(2)給与制度のアップデート等に関するもの

ア 初任給、昇格、昇給等の基準

本府省課室長級職員への職務や職責をより重視した俸給体系の導入等に伴う昇給号俸数や職員が昇格等をした場合に決定される号俸の見直し、多様な経験や専門性を有する民間人材等をより一層公務に誘致するための初任給決定方法の見直し等を行うため、規則9-8の一部を改正した。

イ 通勤手当

通勤手当の支給限度額の引上げ、新幹線鉄道等に係る特例の適用範囲の拡大、橋等の特例の廃止等に伴い、新幹線鉄道等に係る特例における「異動等の直前の住居に相当する住居」の拡大、新幹線鉄道等の利用基準の廃止、新幹線鉄道等に係る特例を適用する権衡職員等の範囲拡大、橋等の特例に係る規定の削除等を行うため、規則9-24(通勤手当)の一部を改正した。

ウ 期末・勤勉手当

勤勉手当について、一般職員及び特定管理職員の成績率の上限を平均支給月数の3倍に引き上げるため、また、特定任期付職員に勤勉手当を支給することに伴い、成績率の設定等の規定の整備等を行うため、規則9-40の一部を改正した。

エ 地域手当

見直し後の地域手当の支給地域及び地域ごとの級地区分を定め、異動保障を3年に延長すること及び再任用職員に対し異動保障を支給することに伴う規定の整備を行い、支給地域及び級地について10年ごとに見直すことを例とする規定を削除し、経過措置期間中における支給地域及び地域ごとの級地区分等を定めるため、規則9-49(地域手当)の一部を改正した。

オ 特地勤務手当等

再任用職員に対して特地勤務手当等を支給することに伴い、再任用職員の特地勤務手当基礎額について定めるなど規定の整備等を行うため、規則9-55(特地勤務手当等)の一部を改正した。

カ 扶養手当

改正前の給与法第11条の2に規定されていた要件具備の届出並びに支給の始期及び終期等の扶養手当の支給に関し必要な事項に係る規定の新設、経過措置期間(令和7年度)中における扶養手当の支給要件等に係る規定の整備等を行うため、規則9-80(扶養手当)の一部を改正した。

キ 単身赴任手当

単身赴任手当の支給対象に、新規採用等により「新たに俸給表の適用を受ける職員となったこと」に伴って単身赴任となった職員を加えることに伴い、規則において定めることとされている権衡職員の範囲に係る規定の整備等を行うため、規則9-89(単身赴任手当)の一部を改正した。

ク 管理職員特別勤務手当

平日深夜に係る管理職員特別勤務手当の支給対象時間帯及び支給対象職員の拡大に伴い、支給対象職員の区分に応じた手当額の新設等を行うため、規則9-93(管理職員特別勤務手当)の一部を改正した。

(3)寒冷地手当支給規則の改正に関する勧告

国家公務員の寒冷地手当に関する法律の改正に伴い、令和7年1月22日、人事院は内閣総理大臣に対して寒冷地手当支給規則(昭和39年総理府令第33号)の改正に関する勧告を行い、この勧告に基づき、同規則の一部を改正する内閣官房令が同年3月28日に公布された。これにより、寒冷地手当の支給地域以外の地域に所在する官署のうち、官署所在地の気象データが4級地の基準を満たす142官署が指定されたほか、寒冷地手当法の改正に伴う規定の整備等が行われた。

2 行政組織の新設等に伴う規則改正

行政組織の新設・改廃、官職の新設等に伴い、公安職俸給表(二)の適用範囲の変更を行うため規則9-2(俸給表の適用範囲)の一部を改正したほか、規則9-6(俸給の調整額)、規則9-17等の一部を逐次改正した。

3 級別定数の設定・改定等

(1)級別定数の設定・改定等に関する意見の申出等

級別定数は、府省ごとに、職員の職務をその複雑、困難及び責任の度に応じて各俸給表の職務の級別に分類し、その職務の級ごとの適用職員数(枠)を、会計別、組織別及び職名別に定めたものであり、各府省において、適正・妥当な職務の級の決定が行われるよう、給与格付の統一性、公正性を確保する役割を担っている。

毎年、行政需要の増大や行政の複雑・多様化等に伴う業務の変化に対応し、能率的な行政運営を推進するとともに、適正かつ安定した人事運用を確保するため、所要の見直しを行っており、令和6年度においても、令和6年8月末の各府省要求に始まる予算編成過程において、人事院は労使双方の意見を聴取して級別定数の設定・改定等に関する案を作成し、予算概算閣議決定前の令和6年12月19日に意見として内閣総理大臣に提出した。この人事院の意見を反映した予算の成立を視野に、人事院は各府省における級別定数の運用に必要な事項等を加えた級別定数等に係る意見の申出を令和7年3月31日に内閣総理大臣に行った。人事院の意見の申出を受けて、内閣総理大臣は、意見の申出どおり級別定数の設定・改定等を行った。

このほか、令和6年度の年度途中において政府が行った機構の新設及び定員の増減等に対応して、人事院は、級別定数の設定・改定等に関する意見の申出を3件行った。人事院の意見の申出を受けて、内閣総理大臣は、いずれも意見の申出どおり級別定数の設定・改定等を行った。

(2)職務の級の決定等の審査

職員の採用、昇格、昇給に当たっての給与決定については、規則9- 8等に定める基準に従い、各府省において決定できることとしている。ただし、本府省の企画官等の標準的な職務の級である行政職俸給表(一)7級以上の上位級への決定において基準どおりでない例外的な給与決定に係る案件や、民間における特に有用な知識・経験を有する者の初任給決定における特例的な決定を行う案件等については、人事院への協議を必要としている。このため、人事院は各府省からの個別の協議に応じ、審査を行った。

4 独立行政法人等の給与水準の公表

総務大臣が定める給与水準公表のガイドライン等に基づき、独立行政法人、国立大学法人、特殊法人及び認可法人等の給与水準が公表されている。人事院は、これら法人(令和6年度189法人)による給与水準の公表に当たり、各法人と国家公務員との給与の比較指標等を作成、提供するなど、専門機関として必要な協力を行った。

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