第1編 人事行政

第3部 令和6年度業務状況

第4章 職員の生涯設計

本格的な高齢社会の進展に対応し、定年制度や再任用制度の円滑な実施、職員の退職後の生涯設計に必要な情報の提供、定年の引上げの円滑な実施に向けた対応等の施策を進めてきている。

第1節 定年退職、管理監督職勤務上限年齢制及び再任用制度の状況等

1 定年退職及び勤務延長の状況

国家公務員の定年については、令和13年4月1日に原則65歳となるよう、令和5年4月1日から2年に1歳ずつ引き上げることとされており、令和6年度における定年は、一部を除き原則61歳となっている(令和5年4月1日より前に職務や責任の特殊性等から60歳を超える定年とされていた職員(例:医師65歳、事務次官62歳)については、引き続き当該年齢が定年となっている。)。定年を65歳とすることが職務や責任の特殊性等から著しく不適当な官職(例:矯正施設の医師)については、66~70歳の範囲内で定める年齢(特例定年)とされ、令和6年度における定年は66歳となっている。

また、定年の特例として、定年退職すると公務の運営に著しい支障が生ずると認められる場合に、退職することなく引き続き勤務させることができる制度として、勤務延長制度が設けられている。

令和5年度定年退職者数
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令和6年度に勤務延長により勤務した職員
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2 管理監督職勤務上限年齢制(役職定年制)の状況

定年の段階的引上げに伴い、管理監督職の職員の新陳代謝を計画的に行うことにより、組織の活力を維持し、もって公務能率の維持増進を図るため、管理監督職勤務上限年齢制(いわゆる役職定年制)が導入された。令和5年度中に役職定年年齢に達し、令和6年4月1日までに役職定年制により非管理監督職へ降任等をした職員は、1,465 人である(表4-3)。

また、役職定年制の特例として、役職定年制による降任等をすることにより業務の遂行に重大な障害が生ずる場合は、引き続き管理監督職に就くことを認める特例任用が設けられている。令和6年度に特例任用により勤務した職員は、1,331人である(表4-4)。

令和5年度中に役職定年年齢に達し、令和6年4月1日までに役職定年制により非管理監督職へ降任等をした職員数(給与法適用職員)
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令和6年度特例任用職員数
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3 定年前再任用制度の状況

定年前再任用制度は、60歳を超える職員が希望する多様な働き方を可能とし、意欲と能力のある人材を公務内で引き続き活用できるようにするため、定年の段階的引上げに伴い設けられた制度である。

令和5年度に定年前再任用制度で再任用された職員は、7人(全て給与法適用職員)である。

4 暫定再任用制度の実施状況

定年の段階的な引上げに伴い、平成13年度に導入された再任用制度(以下「旧再任用制度」という。)は令和4年度をもって廃止された。定年の段階的な引上げ期間中は、経過措置として、65歳まで再任用できるよう旧再任用制度と同様の仕組み(暫定再任用制度)が設けられている。

令和5年度に暫定再任用制度で再任用された職員は、19,811人(給与法適用職員19,019人、行政執行法人職員792人)である。これまでの給与法適用職員の再任用の実施状況は図4-1のとおりフルタイム勤務の割合が徐々に増加してきている。他方、民間企業の再雇用制度ではフルタイム勤務者の割合が非常に高くなっている(図4-2)。

年度別暫定再任用職員数(給与法適用職員)
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高齢期雇用をめぐる公務と民間の現状
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5 定年の引上げの円滑な実施に向けた対応

定年の段階的な引上げが各府省等で円滑に行われるよう、各府省等に対し、60歳以降に適用される任用、給与、退職手当の制度を取りまとめた情報提供パンフレット等を提供するとともに、本府省及び地方機関等の人事担当者等を対象に、定年の段階的引上げに関する各種制度について理解を深めてもらうため、オンライン形式による制度説明会を令和6年5月及び12月に実施した。また、定年引上げに関して職員から多く寄せられた質問をFAQとして取りまとめ人事院ホームページにて公開している。

第2節 生涯設計セミナーの実施等

人事院の本院及び各地方事務局(所)では、主に50歳台の職員及び40歳台の職員を対象に、定年・再任用、退職手当、公的年金、社会保障等の制度、定年後の仕事の選択、定年後の家計、健康管理等に関する情報や参加職員による討議を通して生涯設計について考える機会を提供する「生涯設計セミナー」を実施している。令和6年度は、対面形式で19回、オンライン形式で10回実施し、928人が参加した。

また、職員が生涯設計を考える際に役立つ具体的な情報をまとめた冊子「新たなステップを踏み出すために(令和6年度版)」を作成、配付するとともに、人事院ホームページにも掲載している。

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