倫理法及び国家公務員倫理審査会について
倫理法は、幹部公務員を中心に不祥事が続発し、厳しい社会的批判を招いたことを背景として平成11年8月に制定され、平成12年4月から全面施行された。その目的は、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、公務に対する国民の信頼を確保することである。
倫理法は、職員が遵守すべき職務に係る倫理原則を定めている。あわせて、倫理原則を踏まえ職員の倫理の保持に必要な事項を定める政令(国家公務員倫理規程(平成12年政令第101号。以下「倫理規程」という。))の制定、職員と事業者等との接触について透明性を確保するための各種報告制度等(報告のルール)、職員の職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌する機関である国家公務員倫理審査会(以下「倫理審査会」という。)の設置、行政機関等への倫理監督官(各府省事務次官等)の設置についても規定している。
倫理規程は、倫理法の倫理原則を受けた倫理行動規準を定めている。また、許認可等の相手方や補助金等の交付を受ける者などを利害関係者として規定するとともに、職員が利害関係者から贈与や接待を受けるなどの禁止行為に関する「行動のルール」についても規定している。
国公法及び倫理法に基づいて人事院に設置された倫理審査会は、会長及び委員4人をもって組織され、倫理規程の制定・改廃に関する意見の申出、各種報告書の審査、倫理法・倫理規程に違反する疑いがある場合の調査・懲戒の手続の実施、懲戒処分の承認など、職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌している。具体的には、倫理法・倫理規程の適正な運用を確保するとともに、『職員の倫理意識のかん養』、『倫理的な組織風土の構築』及び『倫理法等違反への厳正かつ迅速な対応』の3つを主要な柱に据えて各種施策を実施している。また、令和6年度は倫理審査会発足25周年に当たることを踏まえ、今後、より実効的な倫理保持の仕組みへ発展させていくため、今までの3つの柱は維持しつつ、新たに重点的に取り組む課題として、①『「単なる知識」から「具体的な場面を意識した知識」へ』、②『倫理保持に関する新たな価値観の設定・普及~倫理を「身を守る武器とするもの」へ~』及び③『倫理法令上の規制に関する検討』の3つを設定した。
倫理審査会には、その事務を処理するため、事務局が置かれている。その業務実施には、倫理審査会の議決が必要であり、倫理審査会会議は、令和6年度には19回、倫理審査会設立以来計612回開催されている。
また、各府省及び各行政執行法人に置かれた倫理監督官は、各府省の長等と共に、倫理審査会と連携して、その属する府省等の職員の職務に係る倫理の保持に関する責務を担っている。
本編は、令和6年度において、倫理審査会が行った業務について記述したものである。
