第2編 国家公務員倫理審査会の業務

第2章 倫理法に基づく報告制度の状況

1 報告制度の概要

倫理法では、国家公務員と事業者等との関係の透明性を確保するため、3種類の報告制度を定めている。各報告制度の概要は、次のとおりである。

(1)贈与等の報告及びその閲覧制度

  1. ア 本省課長補佐級以上の職員は、事業者等から1件につき5千円を超える贈与等を受けたときは、四半期ごとに贈与等報告書を、当該四半期の翌四半期の初日から14日以内に、各省各庁の長等に提出しなければならない(倫理法第6条)。

    各省各庁の長等は、このうち指定職以上の職員に係る贈与等報告書の写しを倫理審査会に送付しなければならない。

  2. イ また、事業者等との間の透明性の確保を通じて不適切な贈与等の防止を図る観点から、贈与等の報告には閲覧制度が設けられており、何人も、1件につき2万円を超える贈与等報告書の閲覧を請求できることとされている(倫理法第9条第2項)。

(2)株取引等の報告

本省審議官級以上の職員は、前年において行った株券等の取得又は譲渡について、株取引等報告書を毎年3月1日から同月31日までの間に各省各庁の長等に提出しなければならない(倫理法第7条)。

各省各庁の長等は、その写しを倫理審査会に送付しなければならない。

(3)所得等の報告

本省審議官級以上の職員は、前年分の所得等について、所得等報告書を毎年3月1日から同月31日までの間に各省各庁の長等に提出しなければならない(倫理法第8条)。

各省各庁の長等は、その写しを倫理審査会に送付しなければならない。

2 各種報告書の提出状況等

(1)贈与等報告書の提出状況

指定職以上の職員に係る贈与等報告書の提出件数(令和元~令和5年度)は、表2-1のとおりである。

贈与等報告書の提出状況(令和元~令和5年度)
贈与等報告書の提出状況(令和元~令和5年度)のCSVファイルはこちら

「金銭、物品等の供与」関係の主な贈与品は、食料品・飲料、チケット及び記念品であり、「飲食の提供等」関係の主な提供者は、財団・社団法人等、外国政府・国際機関及び民間企業であり、「報酬」関係の主なものは、原稿料、印税及び講演に対する報酬であった。

指定職以上の職員に係る令和5年度の提出人数は799人となっている。倫理審査会が、この指定職以上の職員に係る贈与等報告書の写しについて、特定の事業者等から繰り返し飲食の提供、贈与等を受けるなど、国民の疑惑や不信を招くようなものがないかなどの観点から審査を行ったが、倫理法等に違反するものはなかった。

(2)株取引等報告書の提出状況

本省審議官級以上の職員に係る株取引等報告書の提出件数(令和元~令和5年)は、表2-2のとおりである。

株取引等報告書の提出件数とその態様(令和元~令和5年)
株取引等報告書の提出件数とその態様(令和元~令和5年)のCSVファイルはこちら

倫理審査会では、令和5年の株取引等報告書の写しについて、職務と関係のある事業者等からの不適切な株券等の贈与など、国民の疑惑や不信を招くような取引等が行われていないかなどの観点から審査を行ったが、倫理法等に違反するものはなかった。

(3)所得等報告書の提出状況

本省審議官級以上の職員に係る所得等報告書の提出件数(令和元~令和5年)は、表2-3のとおりである。

所得等報告書の提出件数とその内訳(令和元~令和5年)
所得等報告書の提出件数とその内訳(令和元~令和5年)のCSVファイルはこちら

倫理審査会では、令和5年の所得等報告書の写しについて、職務と関係のある事業者等からの不適切な贈与、報酬など国民の疑惑や不信を招くような所得等がないかなどの観点から審査を行ったが、倫理法等に違反するものはなかった。

Back to top