第2編 国家公務員倫理審査会の業務

第3章 倫理法等違反への厳正かつ迅速な対応

1 調査及び懲戒手続の概要

倫理法等に違反する行為に関する調査及び懲戒は、国公法における一般服務義務違反の場合と同様に、一義的には任命権者が行うこととされているが、厳正かつ公正な事実の確認及び措置が行われるよう、また、府省間での均衡を著しく欠いた対応とならないよう、倫理法において、倫理審査会の一定の関与の下にその手続が行われる旨の定めがなされている。また、規則22―1(倫理法又は同法に基づく命令に違反した場合の懲戒処分の基準)において倫理法等に違反した場合に係る懲戒処分の基準が、規則22―2(倫理法又は同法に基づく命令の違反に係る調査及び懲戒の手続)において倫理法等違反に係る調査及び懲戒の手続の細目が、それぞれ定められている。

任命権者が職員に倫理法等に違反する疑いがあるとの情報を得た場合には、任命権者により必要な事実確認等が行われるとともに、倫理法等に違反する行為を行った疑いがあると思料するときは倫理審査会に端緒報告がなされ、任命権者による調査が実施される。倫理審査会では、必要に応じ、任命権者と共同して調査を実施するほか、特に必要があると認めるときは、自ら単独で調査を実施できることとなっている。

調査の結果、職員に倫理法等に違反する行為があることを理由として任命権者が懲戒処分を行おうとする場合は、あらかじめ倫理審査会の承認を得なければならないこととされており、倫理審査会は、違反行為の内容を厳正に審査し、任命権者が行おうとする処分案が適正かどうかを判断している。なお、倫理審査会が自ら単独で調査を実施したときは、倫理審査会が自ら懲戒処分を行うことができることとされている。

また、倫理審査会では、倫理法等違反に関する情報を公務員倫理ホットラインなどを通じて、電子メール、投書等で得るほか、新聞報道等によっても得ており、これらの情報を得たときは、任命権者に依頼し、必要な事実確認等が行われることとなる。

2 倫理法等に違反する疑いがある行為に係る調査及び懲戒の状況

(1)調査及び懲戒処分等の件数

令和6年度に倫理法等に違反する疑いのある行為に関し新たに調査が開始された事案は11件であり、前年度から継続して調査が行われた事案はなかった。これらのうち、倫理法等に違反する行為があることを理由として懲戒処分が行われたものは6件で合計6人(免職1人、停職2人、減給3人)であった(下記(2)参照)。また、各府省の内規による訓告・厳重注意等の措置(以下「矯正措置」という。)が講じられたものは5件で合計5人であった。なお、令和6年度の調査が令和7年度に継続された事案はない。

これらを前年度(令和5年度)と比べると、新たに開始された調査件数及び処分等件数は前年度と同数であった(表3-1)。

調査及び懲戒処分等の件数等の推移
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(2)倫理法等違反事案の概要

令和6年度において、倫理法等に違反する行為があることを理由として懲戒処分が行われた事案の概要及び処分内容は、表3-2のとおりである。

令和6年度における倫理法等違反により懲戒処分が行われた事案の概要等
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また、倫理法等に違反する行為の態様等に照らし、矯正措置が講じられた事案は、5件で合計5人であり、これらの違反行為は、次のとおりである。

  • ・ 利害関係者から物品の贈与を受け、贈与等報告書を提出しなかった事案(倫理法第6条第1項、倫理規程第3条第1項第1号違反)1件1人
  • ・ 利害関係者から物品の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反)4件4人
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