(1)対象に応じた人材確保策
国民に対して良質な行政サービスを提供していくとともに、能率的で活力ある公務組織を維持していくためには、多様な有為の人材を確保することが重要である。
平成28年度の人材確保活動及び啓発活動については、各府省や大学等と連携して、特に①女性、②私立大学・地方大学の学生、③専門職大学院生、④技術系の人材、⑤民間人材等を対象に、公務の魅力を積極的に発信するなど、それぞれに応じた的確かつ効果的な人材確保策を展開した。
具体的には、①女性のための霞が関特別講演、女性のための公務研究セミナー及び女子学生のための国家公務員試験ガイダンスといった女性の採用拡大に向けた業務説明会等の充実、②各地域での大学懇談会の実施等による地方大学とのネットワーク強化、③霞が関インターンシップ、大学院の講義への職員派遣など、公共政策大学院・法科大学院向けの取組の拡充、④理工系教授との連携、PR冊子の新規作成等による技術系職種の業務内容等の積極的な周知・広報、⑤経験者採用試験申込者数の拡大策の強化等を行った。
これらの施策の展開に当たっては、各府省と連携して魅力ある説明内容の充実に努めるとともに、ホームページ、メールマガジン、フェイスブックなどIT媒体を活用し、写真・動画等を多用するなど訴求力の高い情報発信を行った。
(2)採用試験日程の見直し
平成28年度卒業・修了予定者について、民間企業の採用選考活動の開始時期が、平成27年度の8月から6月に2か月繰り上げられることとなったが、国家公務員採用試験については、受験者等への周知期間の十分な確保等の観点から、平成28年度については基本的に平成27年度と同様の日程で実施した。なお、民間企業の広報活動は、平成27年度と同様、3月から開始されており、国家公務員の人材確保活動についても、前年と同様、これに合わせて実施した。
平成28年度国家公務員採用試験(総合職試験)の日程
申込受付期間(インターネット) | 4月1日(金)~4月11日(月) | |
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第1次試験日 | 5月22日(日) | 〔平成27年度は5月24日(日)〕 |
第2次試験日(筆記) | 6月19日(日) | 〔平成27年度は6月28日(日)〕 |
第2次試験日(政策課題討議・人物) | 6月30日(木)~7月15日(金) | 〔平成27年度は7月2日(木)~7月17日(金)〕 |
最終合格発表日 | 7月29日(金) | 〔平成27年度は7月31日(金)〕 |
平成29年度については民間企業の動向等を踏まえて、春実施の総合職試験の第1次試験日以降の試験日程を1か月程度繰り上げることとした。平成29年度の試験日程の変更については、平成28年3月にはその概要を公表し、同年12月には具体的日程を公表するなど随時情報提供を行うなどにより各府省、受験者等に向けた周知を図り、試験の円滑な実施に向けて取り組んだ。
平成29年度国家公務員採用試験(総合職試験)の日程
申込受付期間(インターネット) | 3月31日(金)~4月10日(月) |
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第1次試験日 | 4月30日(日) |
第2次試験日(筆記) | 5月28日(日) |
第2次試験日(政策課題討議・人物) | 5月30日(火)~6月16日(金) |
最終合格発表日 | 6月30日(金) |
(3)総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分の見直し
行政課題の複雑化、グローバル化が進展する中、既存の専門分野にとらわれることなく、多様な有為の人材を確保していくことが不可欠となっている。
このような状況を踏まえ、法律や経済といった専攻分野以外の分野からも、公務に期待される能力を有する人材を、女性を含め幅広く公務に誘致できるよう、多様な受験者が受験しやすいものにする観点から、平成28年度より、総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分における専門試験の試験内容を、政治学又は国際関係を専攻する受験者の専門分野を重視した内容に見直すとともに、各種説明会、情報媒体を通じて積極的に周知に努めた。平成28年度の同区分の実施結果は、合格者52人(うち女性15人)、採用内定者10人(うち女性5人)(平成27年度は、合格者18人、採用者2人)となり、一定の成果をおさめた。平成29年度試験についても、積極的な周知活動を行っている。
平成28年度以降の総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分の試験内容
1 専門試験(多肢選択式)
[必須問題]
政治学⑩、国際関係⑩、憲法⑤
[選択問題]
次の8科目30題から任意の15題を選択して解答
行政法⑤、民法③、経済学③、財政学③、経済政策③、行政学⑤、国際法⑤、国際事情③
※ ○内の数字は出題予定数。
2 専門試験(記述式)
次の8題のうち3題を選択して解答
政治学、行政学、憲法、国際関係A、国際関係B、国際法、公共政策A、公共政策B
(4)経験者採用試験の充実
経験者採用試験は、民間企業等における有為な勤務経験を有する者を係長級以上の職へ採用することを目的として行う中途採用試験であり、平成24年度から実施されている。また、同試験は、各組織の年齢別人員構成上の偏りへの対処に資する方策の一つと考えられる。平成28年度は、6種類の経験者採用試験が実施され、2,401人が受験を申し込み、297人が最終合格した。特に、国税庁において、これまで20人前後であった同試験からの採用者を大幅に増やすこととし、合格者は223人となった。
人事院としては、今後とも引き続き、各府省と協力して効果的な人材誘致策を展開していくとともに、経験者採用試験を活用した民間人材等の着実な採用を各府省に促していくこととする。
○平成28年度に実施された経験者採用試験
- ・経験者採用試験(係長級(事務))※13府省が採用を予定
- ・外務省経験者採用試験(書記官級)
- ・国税庁経験者採用試験(国税調査官級)
- ・農林水産省経験者採用試験(係長級(技術))
- ・国土交通省経験者採用試験(係長級(技術))
※本省区分、国土地理院区分及び地方整備局・北海道開発局区分の3区分で実施
- ・観光庁経験者採用試験(係長級(事務))
○経験者採用試験実施状況(単位:人)
24年度 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | 28年度 | |
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申込者数 | 1,206 | 1,492 | 2,009 | 1,446 | 2,401 |
最終合格者数 | 8 | 38 | 138 | 117 | 297 |