第1編 《人事行政》

【第2部】 魅力ある公務職場の実現を目指して

第3章 調査結果から明らかになった公務職場の課題

第3節 職場の活性の低下とコミュニケーション

1 業務の効率化とコミュニケーション

「業務の効率化」との間に相関がある質問項目として「オフィス環境の快適度」があり、これも否定的な傾向が見られた。オフィス環境には様々なものが含まれるが、情報通信技術(ICT)の環境は業務と密接に関係することを踏まえると、ICT環境の整備が業務の効率化につながると感じている職員が多いのではないかと考えられ、職員が自分の業務を合理化し仕事を回していくために、ICT、特に電子メールを活用している実態が推測される。

確かに、業務の電子化は、業務の効率化に資すると考えられ、また、ICTを活用したリモートアクセスは、時間や場所にとらわれない働き方を可能とし、ワーク・ライフ・バランスの観点からも、ICT環境の整備を推進していくことは重要である。その一方で、常時、職場からのアクセスが可能な状態になり、必要な休息が取れず、長時間労働につながるおそれもある。

さらに、元来、我が国の公務職場における執務体制においては、柔軟な職務分担の下、職員が机を並べて濃密なコミュニケーションを取ることで、その結果、様々な相互作用が生じ、ある面では競争し、ある面では協力し団結するという関係が構築されており、それが組織活力の源泉と認識されてきたが、電子メールの活用が進み、以前であれば対面でやりとりした事柄も電子メールによって伝達されるようになっており、職場におけるコミュニケーションの在り方が変化しつつある可能性がある。

したがって、ICTの活用は業務の効率化に資する一方で、勤務時間管理や職場のコミュニケーションに影響を与えることに留意する必要がある。

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