第1編 《人事行政》

【第2部】 魅力ある公務職場の実現を目指して

第3章 調査結果から明らかになった公務職場の課題

第3節 職場の活性の低下とコミュニケーション

2 上司と部下のコミュニケーション

職場におけるコミュニケーションの変化に関連して、調査結果から、上司と部下の間のコミュニケーションについて見てみると、上司は公平に部下の意見を傾聴し、相談や報告がしやすいよう努めていることもあり、部下から信頼されている傾向がある一方で、「キャリアに関する部下への助言」については否定的な傾向が見られたことから、上司は仕事上必要なコミュニケーションは取っているものの、キャリアについて部下の相談に乗るといったコミュニケーションは十分に取れていないのではないかと考えられる。

人事院が開催した「公務における人材育成・研修に関する研究会」(座長:原田久立教大学法学部教授)による報告(平成27年12月)でも述べられたとおり、方針や目標を職場内に浸透させ、様々な事情を抱える職員も含めてチームワークを創出し、適切に業務を配分して進捗管理や的確な指示を行い、成果を上げるマネジメントが重要である。その際、単に短期的な業務成果を上げるだけでなく、部下の指導・育成を長期的視点に立って適切に行い、その能力を伸ばしていく取組が管理職に求められている。

こうしたマネジメントには高度のコミュニケーション能力が必要となるが、それは一朝一夕で身に付くものではない。したがって、管理職候補とされる職員に対し、比較的早期から複数の部下のとりまとめやグループの長などマネジメントに類する業務経験やマネジメントに関する研修機会を付与することにより、実践的なマネジメントに関する意識の向上や学習を促すことを通じて、管理職にふさわしいコミュニケーション能力を身に付けさせる必要がある。

また、上司と部下の間のコミュニケーションギャップの解消を図るとともに、管理職としての自覚を促すための契機として、民間企業、地方公共団体、外国政府等においても行われているように、職員意識調査の結果を局又は課ごとに集計し、その結果を各管理職にフィードバックすることも考えられる(詳細については補論を参照)。

Back to top