第1編 《人事行政》

【第2部】 魅力ある公務職場の実現を目指して

第3章 調査結果から明らかになった公務職場の課題

第4節 業務負荷の影響

1 業務量に応じた人員配置と超過勤務

「業務量に応じた人員配置」に否定的な傾向が見られるのは、行政需要が増大しているにもかかわらず、必ずしも業務量に見合った定員が確保されていない場合があることを示していると考えられる。また、「業務量に応じた人員配置」と比較的強い相関がある「業務の効率化」も否定的な傾向が見られ、業務の効率化が進んでいない職場を中心に、人員配置に比して業務量が過大になっていることが推測される。

そこで人事院が実施した「平成28年国家公務員給与等実態調査」から超過勤務の状況を見てみると、平成27年の超過勤務の年間総時間数は、全府省平均で233時間、本府省では363時間となっていた。また、「超過勤務の縮減に関する指針」(平成21年職員福祉局長通知)で定める超過勤務の上限の目安時間360時間を超えた職員の割合は、全府省平均で22.5%であり、他律的業務の多い本府省においては、46.0%の職員が360時間を、7.5%の職員が720時間を超えて勤務しており、職員の長時間労働が問題となっている。

職員の超過勤務の縮減については、従来から政府全体で連携しつつ取り組んできたところであるが、このような状況は大きく変化していないことから、定員配置に起因する構造的な超過勤務が生じている可能性は否定できない。

したがって、超過勤務等に関する実態を踏まえて、業務量に応じた定員配置を行うことで、職員の業務負荷が過大とならないようにする必要がある。

あわせて、超過勤務縮減のための取組を引き続き推進することが必要であり、超過勤務の必要性の精査を踏まえた事前の超過勤務命令等の勤務時間管理の徹底や業務の一層の合理化を行う必要がある。調査結果によれば、「業務の効率化」は「適切なトップマネジメント」、「組織方針の共有」、「状況に応じた業務配分」との間に中程度の相関があったことから、業務の合理化にとっては、組織のトップが方針を明確にし、それを組織内で共有することを通じて業務の必要性や優先順位を明確にし、それに基づき業務配分を行うことも重要であることが分かった。国会関係業務等の行政部内を超えた取組が必要なものについては、引き続き関係各方面の理解と協力を得ながら改善を進めていくことが重要である。

また、ワーク・ライフ・バランスの確保の観点から、勤務時間や勤務場所の弾力化を模索していく必要がある。近時、民間企業においては、正社員であっても、事情に応じて、勤務時間や勤務地を限定した働き方を可能とする仕組みを導入するところも出てきており、公務においても、このような民間企業の動向も踏まえつつ、引き続き、多様な働き方を可能とする仕組みを研究していく必要がある。

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