第1編 《人事行政》

【第2部】 魅力ある公務職場の実現を目指して

第3章 調査結果から明らかになった公務職場の課題

第4節 業務負荷の影響

2 業務量とストレス

「心身の健康状況」と「ストレスの許容度」との間には強い相関が、また、「ストレスの許容度」と「業務量の許容度」との間にも比較的強い相関があり、業務量が多ければストレスも多く、心身の健康に関わるという関係が確認できた。

この点、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に、引き続いて1月以上の期間、精神及び行動の障害のため勤務していない者を対象に人事院が実施した「精神及び行動の障害による長期病休者数調査」によれば、長期病休者は、3,295人(全職員の1.20%)となっており、業務量がメンタルヘルスに与える影響も否定できないと考えられる。

他方で、「ストレスの許容度」は「職場によるチャレンジ支援」、「職場の活力」、「ワーク・ライフ・バランス」、「今の仕事のやりがいの実感」との間にも中程度の相関が見られ、ストレスには業務量以外の要因も絡んでいる可能性が注目される。厳しい業務環境においても、ストレスは許容範囲内であり、心身の健康が維持されていると感じている職員が少なくないのは、仕事において一定の裁量を与えられていることで仕事にやりがいを感じたり、仕事上の積極的な支援やワーク・ライフ・バランスの確保への周囲の理解などの点で、職場における協力関係があったりするなど、何らかの精神的な支えとなるものが存在していることが考えられる。

したがって、心身の健康の維持にとっては、長時間労働慣行を見直すことに加えて、職員本人の仕事に対する意識を高めたり、職場による精神的な支えを強めたりすることも必要である。平成27年12月から各府省において導入されているストレスチェック制度を活用するなどして、研修等を通じ職員一人一人がストレス対処法を身に付けるとともに、上司の意識改革を促し、働きやすい職場環境の整備を推進していくことが重要である。

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