第1編 《人事行政》

【第3部】 平成28年度業務状況

第8章 国際協力

第2節 国際協力・国際交流

2 開発途上国等に対する技術協力

開発途上国にあっては、国家の発展に向け、行政の基盤である公務員制度を整備し、ガバナンスを向上させることが共通課題となっており、我が国の例に学びたいという要望が数多く寄せられている。こうした要望を受け、人事院は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催する開発途上国の政府職員を対象とした研修の実施等に協力している。

(1)人事管理研修

各国の人事行政の改善に資することを目的とし、各国の中央人事行政機関等の上級幹部職員を対象とする「上級人事管理セミナー」と、課長補佐級職員を対象とする「人事行政セミナー」の2コースが実施されている。

いずれのコースも、我が国の人事行政について、その基本的な考え方や運用、新たな動向等を紹介するとともに、討議や各国との比較研究を通じ、各国の人事行政の実情に適合した人材マネジメントを参加者自らが考えることを内容としている。

各コースの実施状況は次のとおりである。

ア 上級人事管理セミナー

平成28年度は、8か国8人を対象に、約2週間にわたり実施された(資料8-2)。

平成3年度の開始から平成28年度までの参加者は、合計65か国(地域)243人である。

イ 人事行政セミナー

平成28年度は、11か国11人を対象に、約3週間にわたり実施された(資料8-2)。

平成11年度の開始から平成28年度までの参加者は、合計67か国(地域)188人である。

(2)上級国家行政セミナー

各国の中央政府機関の上級幹部職員を対象に、我が国のガバナンスと社会経済の発展の経緯を紹介しつつ、様々な政策課題についての討議等を通じて、各国の社会経済の発展に資する行政の在り方を考える研修である。

平成28年度は、9か国9人を対象に、約3週間にわたり実施された(資料8-2)。昭和61年度の開始から平成28年度までの参加者は、75か国(地域)321人である。

(3)国別の技術協力

ア ベトナム

ベトナム政府は、現在、公務員採用試験制度の改革に取り組んでおり、JICAが平成26年度から開始した本改革に関する技術協力に対し、人事院も協力・支援を行っている。平成28年度も同国政府の試験制度改革担当官を対象とする訪日研修の企画立案の支援と受入れに加え、同国に専門家を派遣しセミナー等を実施した。また、同国の幹部育成を所掌するホーチミン国家政治学院の研修実施能力を強化するための支援として、同学院の講師陣を対象とした研修技法等に関する訪日研修も実施した。

イ カンボジア

カンボジア政府は、現在、公務員制度改革をはじめ、広く行財政改革に取り組んでいる。これらの改革を支援するためにJICAが実施する同国政府職員の訪日研修に人事院は協力・支援を行った。平成28年度は、同国の公務員給与制度改革を担当する職員を対象に、我が国の国家公務員給与制度とその運用の解説などを内容とする訪日研修及び同国政府の幹部職員研修機関である王立行政学院の職員を対象に、公務員研修所が実施する行政研修(課長補佐級)国際コースへの参加及び研修実施運営状況の視察などを内容とする訪日研修を実施した。

ウ ボツワナ

JICAが実施するボツワナ政府職員の訪日研修についても、人事院は新たに協力・支援を開始した。平成28年度は、同国政府で公務員制度を所管する公務員管理局等の職員を対象に、政策の企画立案に必要な能力、総合的な判断力・思考力等を見るための記述式試験及び人柄、対人的能力等を見るための人物試験の実施・運営方法等を指導したほか、専門職種の人材確保を促す給与制度等の仕組みに関する指導などを内容とする訪日研修を実施した。

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