倫理保持の徹底を図るためには、職員個々人の倫理意識をかん養するだけでなく、各職場において倫理的な組織風土を構築していくことが極めて重要である。相談・通報の仕組みの整備・活用は、その組織が倫理保持を重視していることを示すことになるだけでなく、違反行為に対し早期に認識・対処することで事態の深刻化を防ぐことにもつながるものである。
倫理審査会は、自ら「公務員倫理ホットライン」を設置して、倫理法等違反行為に関する相談・通報を受け付けるとともに、各府省等に対しても、相談・通報窓口の設置と職員に対する窓口の周知を求めてきた。その結果、現在、全ての府省等において組織内に窓口(内部通報窓口)が設置され、加えてほとんどの府省等において組織外にも弁護士事務所等を活用した窓口(外部通報窓口)が設置されている。外部通報窓口の設置には、組織外部に窓口が存在することにより組織内の緊張感が高まり、違反を抑止することが期待できるほか、窓口利用者の意向やその者が置かれた状況等に応じて窓口を選択することが可能となり、利用者の利便性を高め、相談・通報の活用促進につながるといった重要な意義がある。倫理審査会は、外部通報窓口が未設置の府省等に対して、引き続きその設置を働きかけていく。
通報に対してはマイナスイメージを抱く者もいまだ少なくないことから、心理的抵抗感を取り除く取組を進めることが肝要であり、倫理審査会では、従来から、公務内外に対して相談・通報の仕組みの意義や公務員倫理ホットラインの周知を行ってきた。また、各府省等に対しても、所属職員に相談・通報窓口を周知するとともに、相談・通報窓口において倫理法・倫理規程に関する疑義・相談について適切に対応することを求めている。このように、違反行為の通報を受け付けるだけではなく、倫理法等違反といえるか必ずしも判然としなくとも疑義が生じた際に相談できる仕組みとしておくことは、違反行為の未然防止や事態の深刻化の防止に資するとともに、相談・通報に対する心理的抵抗を緩和することになる。職員の中には、いまだこのような相談・通報の仕組みを知らない者もいることから、各府省等と連携して、引き続き相談・通報窓口の周知を進めるとともに、通報を通じて発覚する違反事案があることを研修等の場において紹介することなどにより、相談・通報窓口の意義を積極的にPRしていく。
研修教材やパンフレット等に掲載している公務員倫理ホットラインの周知記事