1 趣旨
国家公務員健康週間は、各府省が保健衛生に対する認識を新たにし、より一層の職員の健康の保持増進を図ることによって、公務能率の向上に資することを目的として行うものである。
2 期間
令和6年10月1日(火)~7日(月)
3 主唱者
人事院・内閣官房内閣人事局
4 主催者
各府省
5 主唱者の実施事項
職員のWell-being実現の土台となる職場環境を整備していく上で、各自の健康増進が極めて重要である。今後、高齢層職員や女性職員の割合が増加していくことや、様々な事情を有する職員がいることも念頭に置きながら、健康増進に資する取組を進める必要がある。また、近年、心の健康の問題による長期病休者の数が増加しており、心の健康づくり対策が急務である。そのためには、各府省において、1次予防(健康不全の未然防止)、2次予防(健康不全の早期発見、早期対処)及び3次予防(職場復帰支援、再発防止)の各取組を推進していくことも必要であるが、これと並んで、職員一人ひとりが心の健康づくりの重要性を認識し、積極的に心身の健康の保持増進を図ることが求められている。さらに、本年4月には、公務において勤務間のインターバル確保に係る努力義務が導入された。こうしたことから、主唱者は、本週間をあらゆる職員が自身の健康について振り返る機会とするべく、職員が自ら心と体の健康づくりに取り組むための支援に資する取組を進める。これらを踏まえ、次の事項を実施する。
⑴ 健康週間の周知
広報誌、ポスター、ホームページ等を通じて周知を行う。
⑵ 講演会の開催
職員の健康の保持増進に係る意識の啓発・普及を図るため、健康に関する有識者による講演会等を開催する。
⑶ 「職員の健康の保持増進のための各府省連絡会議」の開催
本府省の健康管理担当者等を対象に「職員の健康の保持増進のための各府省連絡会議」を開催し、好事例紹介や意見交換等を行う。
⑷ 指導援助
主催者の行事の企画及び実施についての指導援助を行う。
⑸ 有識者からの寄稿の掲載・周知
健康に関する有識者からの寄稿を人事院月報及び人事院ホームページに掲載し、主催者を通じて広く職員に周知する。
6 主催者の実施事項
主催者においては、超過勤務命令の上限等の設定や、本年4月からの勤務間のインターバル確保に係る努力義務規定の導入、ハラスメントの禁止等を踏まえ、以下の事項を実施する。
⑴ 基本的事項
ア 健康管理体制の充実
① 各府省の長は、職員の健康の保持増進に係る責任を自覚し、職員の健康のより一層の保持増進のため、健康管理規程等の内容を改めて確認する。
② 健康管理者、健康管理担当者、健康管理医等の配置状況、責任及び権限の確認を徹底し、必要に応じて人員や予算の確保に努め、職員の健康管理体制の充実を図る。
③ 健康委員会、職場懇談会等の開催により、健康管理に関する職員の意見を聴取する。
イ 職員への啓発
主唱者が作成・配布するポスターや有識者による寄稿の周知、省内掲示板等による周知など工夫をして、健康の保持増進の重要性に関する職員の認識の徹底を図る。
⑵ 重点事項
ア 心の健康づくり対策
長期病休者の状況や増加している原因分析等を行い、特に若手職員については、メンター制度の導入・活用や、個々の職場の事情に応じてカウンセリングの方法を工夫するなど、より一層の心の健康づくり対策を推進する。心の健康づくりの推進に当たっては、「心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を活用した職場環境改善の取組について」(令和4年3月30日人事院事務総局職員福祉局職員福祉課長通知)により発出された報告書等に基づき、職員に積極的にストレスチェックを受検するよう周知し受検率の向上を図るとともに、平成28年に示した職場環境改善に係る18項目を調査項目に追加して実施するよう努める。また、ストレスチェックによって、高ストレス者と判断された職員に対しては、積極的に面接指導を受診するよう促すことで、心の不調を未然に防止する。さらに、ストレスチェックの分析結果を管理監督者にフィードバックするなどして、積極的な職場環境改善を行い、ストレスの要因の低減を図る。あわせて、心の健康づくり研修会等の開催や、セルフケアに関する知識を身に付けるための自習用e-ラーニング教材の活用等により、管理監督者をはじめとする職員の心の健康づくりに対する意識の向上を図るなど、1次予防(健康不全の未然防止)の推進により一層努める。また、「『円滑な職場復帰及び再発の防止のための受入方針』の改定について」(平成22年7月30日人事院事務総局職員福祉局長通知)を活用しながら、職場復帰過程の各段階において必要な対応を適切に行い、3次予防(職場復帰支援、再発防止)に取り組む。
また、ハラスメントについては、人事院規則10―16(パワー・ハラスメントの防止等)等において、各省各庁の責務、研修等の実施、苦情相談への対応等を定めており、それを踏まえ、ハラスメントの防止に取り組むこと。
イ 超過勤務に係る健康管理対策
超過勤務の一層の縮減を図るため、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)において設けられた上限等を遵守し、超過勤務は必要最小限にするとともに、「令和6年度における人事管理運営方針」(令和6年3月21日内閣総理大臣決定)に基づき、適切な勤務時間管理の徹底と長時間労働の是正を推進する。
特に各府省において、部下職員の勤務時間も含めた業務状況の適切な把握や人員配置・業務分担の見直しなど職場におけるマネジメントを強化し、府省のトップが先頭に立って組織全体として業務の削減・合理化に取り組むなどにより、徹底した超過勤務縮減の努力を行うとともに、フレックスタイム制や早出遅出勤務の活用により、職員の心身の疲労回復や健康維持のために必要な時間の確保に取り組む。
本年4月より、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)に勤務間のインターバル確保に係る努力義務が規定されたことを踏まえ、「勤務間のインターバル確保について」(令和6年3月29日人事院事務総局職員福祉局長通知)を参考に、勤務間のインターバル確保の取組の推進に努める。
あわせて、1箇月100時間以上の超過勤務を行った職員等に対しては、職員からの申出がなくとも医師による面接指導等を確実に実施するとともに、面接指導の対象とならない職員についても職員の勤務状況や職員からの面接希望等を踏まえて、積極的に面接指導を行う。また、その面接指導の結果に基づいた、健康管理についても徹底する。
ウ 健康診断等による健康管理対策
職員に対して、自らの身体機能や健康状態を客観的に把握し、健康や体力の維持管理に努め、日頃から運動を取り入れ、食習慣の改善等により体力の維持と生活習慣の改善に取り組むよう周知する。
また、健康診断を適切に実施するとともに、健康診断の結果、異常所見が認められた者に対しては、積極的に医療機関を受診して改善を図るよう強く促し、健康管理面で配慮が必要な職員については、健康管理医等がその職員の健康状態を適切に把握するとともに、指導区分の決定や事後措置等を行うなど適切な措置を講じる。メタボリックシンドロームに着目した特定保健指導の対象者となった職員については、特定保健指導を積極的に受診して改善を図るよう促すことにより、職員の健康の保持を図る。
エ 受動喫煙防止対策
健康増進法の一部を改正する法律及び「職場における受動喫煙防止対策及び健康確保に係る取組について」(令和2年3月2日人事院事務総局職員福祉局長通知)に基づき、第一種施設においては原則として敷地内禁煙とすることや特定屋外喫煙場所等の対象となる地点での空気環境の測定等を行うことなど、受動喫煙の防止対策に係る取組を徹底するとともに、職員が受動喫煙防止対策に積極的に協力するよう促す。また、喫煙者に対する禁煙サポート対策を行うように努める。
オ 快適で安全な執務環境の確保
職員の健康保持の観点から、執務室の温度等、職員の執務環境について、快適で安全に勤務できるよう、気象状況を考慮しつつ適切に管理する。
カ テレワーク時の職員の健康管理と安全確保
テレワーク勤務時には、職員が勤務環境の整備や心身の健康保持に自律的に取り組むことがより重要となる。「国家公務員におけるテレワークの適切な実施の推進のためのガイドライン」(令和6年3月内閣官房内閣人事局・人事院)を参考に、管理者・職員双方に向けたテレワーク時を含めた健康管理に関する研修の実施、テレワーク実施職員に対する作業環境チェック実施に係る周知啓発等をはじめとして、テレワーク勤務時の健康管理や安全確保に関する理解を深めるための支援を行う。
キ 障害者である職員、その他の健康障害の防止上特に配慮を必要とする職員に対する配慮等
障害者である職員について、業務遂行において適切な配慮がなされていることを確認する。また、その他の健康障害の防止上特に配慮を必要とする職員についても、同様の配慮がなされていることを確認する。
ク 高齢層職員及び女性職員の健康管理
高齢層職員の健康づくりに関しては、厚生労働省が策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)における措置を参考として、定期健康診断の確実な実施はもとより、高齢層職員の健康状況を客観的に把握し、生活習慣病が把握された場合には、保健指導による進行の抑制に加えて、精密検査や医療機関への受診の勧奨を行うなど、高齢層職員の健康づくりに積極的に取り組む。
また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2024」を踏まえ、性差に応じた健康課題への理解促進のため、新規採用職員向けや管理職を含む職員向けの健康教育に取り組むとともに、「第5次男女共同参画基本計画」を踏まえ、子宮頸がんや乳がん等女性特有のがん検診について受診の必要性を啓発し、受診しやすい環境整備を行う。
ケ 治療を受けながら働く職員を支援するための担当者の知識向上
定年年齢の引上げ等により、がん等の治療を受けながら働く職員は今後ますます増加することが見込まれる。
今後、公務においても、治療と仕事の両立支援を進めていくため、健康管理者、健康管理担当者、健康管理医等は、人事院が作成した有識者講演動画、「国家公務員のがんの治療と仕事の両立支援ハンドブック」及び本年の人事院月報10月号掲載の有識者寄稿記事等を参照し、自らの知識を向上するように努める。
⑶ 各府省の実情に応じて行う事項
ア 有害な作業環境等の点検・整備及び有害業務等従事職員の保護対策
① 特定有害業務を行う場所については、勤務環境を検査し、作業環境の評価及び健康障害防止のための設備、機器、保護具等についての必要な点検・整備を行うとともに、作業方法の改善に努める。
② 有害な業務等に従事する職員に対し、その業務に関して発生するおそれのある疾病及びその予防について、健康教育の徹底を図る。特に、新たに有害な業務等に従事する職員について重点的に行う。
③ 有害物質の使用等の申請が適切に行われていることを確認する。また、有害物質取扱い等業務、粉じん発散場所における業務及び放射線に被ばくするおそれのある業務について、その業務を離れた場合の健康管理手帳の交付申請が適切に行われていることを確認する。
イ 離職後の健康管理対策
有害な業務に従事していた職員のうち、離職の後、特別健康管理手帳の交付要件に昨年10月以降該当することとなった者について、交付申請が適切に行われていることを確認する。
ウ 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故等の被災地等において職務に従事する職員等に係る健康管理対策
平成23年3月の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故等の被災地等において職務に従事する職員等について、特別定期健康診断又は臨時の健康診断、専門医による問診の実施等の惨事ストレス対策、健康障害及び放射線障害の防止に関する教育の実施など、心身両面にわたる健康管理対策に努める。
エ その他
各府省において、適宜健康管理上必要な事項を行う。
以 上
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