第38回(令和7年)

人事院総裁賞の選考を終えて

 

 
 
 株式会社 大和証券グループ本社取締役兼執行役副社長 田代 桂子
 
 

今回初めて人事院総裁賞の選考に携わる機会をいただき、国家公務員の幅広い業務とご活躍に触れ、改めて国民生活を日々支 えてくださる公務員の皆様のご尽力と多くの献身に心から感謝申し上げる。ノミネー トされた功績はどれも甲乙つけがたく、その中から選出することは大変困難であったが、社会全体への影響や時代のニーズとの合致、将来への波及効果などを慎重に考慮し、委員の皆様と深く議論を重ねながら選出をした。  個人部門では、警察庁皇宮警察本部の藤本龍昌さんが受賞された。40年間皇宮護衛官として奉職され、特に20年以上皇居の白バイ隊員として、皇室行事の護衛という日頃は表に出ることの少ない、しかし極 めて重要な任務を全うされてきた。長年の経験と卓越した技能で皇宮守護の中核を担い、後進を指導・育成され、サイドカー開発への関与など、その多面的な貢献に敬意を表したい。
 職域部門では、4件が選出された。
 デジタル庁ガバメントソリューション サービス(GSS)班は、全国の国の機関に対して高セキュリティ・高品質・低コストのネットワークを共通サービスとして提供。令和8年1月時点で約4万7,000人が利用しており、国家公務員の業務効率化とテレワーク利用促進につながり、働き方改革を強力に推進する上で極めて重要な功績である。全府省庁へ導入し、引き続き働きや すい環境づくりへの貢献を期待している。
 外務省ミャンマー地震対応チームは、令和7年3月28日に発生したミャンマー地震に際し、厳しい状況下で在留邦人の安否確認や避難・帰国支援、被災者支援に尽力した。多くの欧米諸国が回避する中での献身的な対応は、現地や在留邦人からも高い評価を受け、ミャンマー語での動画は総閲覧数約1,200万回に達するなど、日本の外交的価値と公務の信頼性を高める結果となり、その意義深さと影響力の大きさに 感銘を受けた。
 厚生労働省地方厚生局麻薬取締部、海上保安庁、財務省税関による合同捜査本部は、 三機関が連携して「泳がせ捜査」を実施し、 過去最大の約1トン、末端価格約52億円相当の大麻を摘発。専門分野や省庁の垣根を越え、省庁横断的な緊密な連携のもと大きな成果を上げられた。若年層を中心とした健康被害の未然防止と社会の安全確保に大きく貢献しただけでなく、今後の省庁間連携の模範となる顕著な事例ではないか。
  最後に、国土交通省中国運輸局のトラッ ク・物流Gメンは、荷主への予告なし訪問 やオンライン説明会といった実践的なアプ ローチで、物流現場の課題解決に積極的に取り組んだ。地方の現場で、自ら課題を見 つけ、解決策を考案し実行していく取組が 全国規模へと波及し、物流業界全体に好循環を生み出した点を高く評価したい。
 これらの受賞者・受賞組織の皆様に改めて敬意を表すとともに、国家公務員の皆様の日々の献身的な努力と使命感に、一人の国民として心から感謝申し上げたい。私自身も、皆様の姿勢に学び、自らの職責を全うしたいという思いを強くした。

 (人事院総裁賞選考委員長)

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