第38回(令和7年) 人事院総裁賞「個人部門」受賞

藤本 龍昌 氏
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警察庁 皇宮警察本部 赤坂護衛署

 

  藤本さんは、40年にわたり皇宮護衛官として勤務し、うち20年以上側車(サイ ドカー)・白バイ乗務員として皇室行事の護衛業務に尽力。特に高度技術を要する側車での護衛で突出した実績を持ち、後進育成や技術伝承にも尽力。さらに新型側車開発に伴う関係機関との調整にも関与し、皇室の方々の安全確保と国家的行事の円滑な運営に大きく貢献したことが認められました。

 
 
 
 

藤本さんがこれまで従事してこられた皇宮警察の業務内容をお聞 かせください。
  皇宮警察本部は、天皇皇后両陛下を始め皇室の方々の護衛と皇居や御所等の警備を専門とする警察組織です。その中で私の所属していた護衛第一課機動護衛担当は、天皇皇后両陛下の地方行幸啓、皇室の重要な儀式のほか、国賓等の外国要人や大使等の信任状の捧呈式に伴う皇居参内に際して、白バイや側車(サイドカー)を用いた護衛に当たっています。 私たちは、皇室守護という崇高な使命に誇りを持ち、あらゆる事態に冷静かつ適切に対応できるように日々、訓練を重ねています。絶対に失敗の許されない任務を果たすために、常に向上心を持って取り組んできました。

 

長年、皇宮警察の第一線で活躍されてきた中で、大事にしてきたことがあれば教えてください。
  皇宮警察の白バイ・側車が対処しなければならない事態は発生しないことが本来望ましいことです。しかし、予断を許さない環境の中、御料車等の脇を寸分なく固め、毅然とした態度を示し、問題となる行動を未然に防ぐことが私たちに課された任務です。そのため、護衛に従事しているときは一瞬の油断も許されません。また、沿道には多くの奉迎者の方々が集まり、自然と私たちの姿も目に入ります。そこで、奉迎者の方々が期待する情景を乱さぬよう、皇室と国民との架け橋となるべく、常に整然と行動することにも配意していました。

 

印象に残っているエピソード等がありましたらお聞かせください。
 令和のはじめに天皇陛下がご即位されたときの即位を祝うパレー ドである「祝賀御列の儀」において、私は、天皇皇后両陛下のご乗車されたオープンカーの側車護衛を担当しました。行事に伴う護衛警備に向け、私たちは、過去の事案や起こりうるあらゆる想定に対応できるように訓練をこれまで以上に重ね、体力・判断力・連携を高めるようにしていました。それでも想定外の事象は起こりえます。行事は、自然災害の影響から約一箇月延期となりましたが、延期の期間中も本番に向けて張り詰めた緊張感を保つ必要があります。全員が 「この状況こそ自分たちの真価が問われている」と認識し、訓練と準備に励み、本番に向け緊張の糸が途切れないよう備えていました。本番までは随分と長く感じましたが、当日は沿道で大勢の奉迎者の方々が祝福する中、無事大役を終えた後の達成感、安堵感は今も忘れることのない出来事です。

 

☆業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。
 天皇陛下の行幸における列は「鹵簿(ろぼ)」と呼ばれ、既に平安時代にはその体系は定まっており、その中で徒歩で護衛にあたっていたのが皇宮護衛官の先人たちと言われています。徒歩の護衛は次第に騎馬に、さらに側車に変わり現在の形になっています。

  遙けくも 遠き御祖(みおや)の 血潮受け継ぎ 御垣(みかき )守もり 
 
 これは、皇宮警察歌の一節です。「皇宮護衛官は遙か遠くから祖先の意志を受け継いでいる」という意味が込められています。私は皇宮護衛官になってから何度もこの歌を歌うたびに、この国の大事な歴史や伝統を後世につなぐという自分に課された任務に誇りとやりがいを強く感じています。令和の即位に関連する一連の儀式における側車護衛を無事に終え、私をこの道に導いてくださった先輩から「つながったな」と言葉をかけていただいたとき、重責を成し遂げることができたのだという安堵感が胸にこみ上げたことを今でもはっきりと覚えています。
 
 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。
 皇宮警察の任務は、世間から注目を受けたり、国民の皆様のお目にかかる機会も多くはないかもしれませんが、私たちは決して歩みを止めることはありません。 

 衛士(えじ)のほまれは たまきはる  生命の栄えよ 
 
 これも皇宮警察歌の一節です。「われわれの職責の崇高さは、われわれの生命を一段と栄えあるものにするであろう」という意味になります。 私の受け継いだ皇室守護の重みを今後の新しい時代を担う若き皇宮護衛官に引き継ぎ、これからも皇室の御安泰を確保し続けることで国民の皆様の期待と信頼に応えていきたいと思います。
 
 
▲皇宮警察本部(旧枢密院)前に整列する側車部隊
 
▲「祝賀御列の儀」における護衛の様子
 
 
▲宮殿をご出発になる両陛下と白バイ・側車部隊

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