第38回(令和7年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

厚生労働省地方厚生局麻薬取締部
海上保安庁
財務省税関

 若年層の大麻使用が社会問題となる中、3省庁が連携し、東南アジアからの大規模大麻密輸事件に対して共同調査を実施。過去最大規模となる約1トン(末端価格約52億円相当)の大麻を摘発し、関係者を逮捕。我が国の将来を担う若年層の健康被害の防止や違法薬物の流通阻止により社会の安全・秩序維持に大きく貢献したことが認められました。

 
 
 

はじめに、合同捜査本部における三省庁それぞれの役割分担を教 えてください。

海外の薬物密輸密売組織が、巨額の利益が見込まれる我が国の薬物市場に狙いを定めて大麻を密輸する可能性があるとみて、厚生労働省 地方厚生局麻薬取締部(以下、麻薬取締部)、海上保安庁、財務省税関(以下、税関)が、情報交換、警戒監視を強化していました。その中で、令和7年6月、東京税関が、ベトナム来コンテナ内から大麻約1トンを摘発したことを受けて、3機関合同で大規模な強制捜査を実施し、犯人を検挙しました。
 押収した資料や判明した事項をもとに、麻薬取締部と海上保安庁は、犯人の取調べ、関係者への聞き取り、防犯カメラの精査、押収した大麻の鑑定を行い、税関は、証拠品のデータ解析、密輸ルートの解明、海外から入国する関係者の動向把握に努め、その対応に当たっていました。
 犯人の取調べでは麻薬取締官と海上保安官がペアを組んで実施したり、関係箇所が判明した際は、3機関で捜査員を集め、強制捜査を実施したりしました。

 

☆省庁の垣根を越えた連携の中で、苦労された点や工夫された点などを教えてください。

我が国で押収される薬物の大半が海外から輸入されていることから、麻薬取締部、海上保安庁、税関、警察等の捜査機関は、日頃から情報収集と情報交換を行っています。
 今回の捜査では、短時間のうちに現場を掌握して、犯人が逃走する前に確保、証拠の保全を行うために、各地の麻薬取締部、海上保安庁、税関で100名を超える人員で捜査体制を構築しました。このような規模で、3つの異なる組織の捜査員を適切に配置するための班編成を行うことは容易ではなく、検討を繰り返さなければならないといった苦労がありました。
 いざ捜査が始まると、捜査員は皆、事件の真相解明、 犯人の検挙、薬物の押収という共通の目標、目的のもと、高いモチベーションを持って業務に当たっていました。

 

☆若年層の大麻 乱用が高止まりしている状況ですが、今後の取締についての意気込みを教えてください。

現在、若者による大麻乱用が社会問題となっており、大麻の事件で摘発された人の7割が30歳未満の若年層という「若年者大麻乱用期」とも言える状況です。
 今回の大麻も押収されていなければ、その多くが若者の手に渡っていたおそれがありました。関係機関が一丸となって粘り強く捜査に当 たり、大量の大麻の流入を阻止できたことは薬物密輸密売組織に打撃を与えただけでなく、若者の大麻使用を未然に防ぐことができたと考えています。
 今後も、薬物密輸密売組織の壊滅を目指すという強い信念を持って、 関係機関と協力して取締を行っていきます。

 

業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

薬物の密輸は、国民の健康と国民生活の安全に重大な影響を及ぼす犯罪です。
 大麻1トンは、末端価格にして約52億円、使用量に換算すると約 200万回分に当たります。今回の捜査で、その大麻が我が国の未来を支える10代、20代といった若年層へ届く前に押収し、我が国を蝕もうとする薬物密輸密売組織に打撃を与える等の成果を上げることができました。携わった捜査員も、国民の未来と社会の安全を自らの手で守ることができたと実感しています。

 

最後に、国民の皆様へ今後の抱負やメッセージをお願いします。

我々の目標は、「薬物乱用のない安全な社会」の実現です。
 薬物の密輸手口は巧妙化の傾向が続いており、海外からの違法薬物の供給を遮断する観点からも密輸対策の重要性は更に高まっています。
 薬物を若い人達の身近なものにしないため、麻薬取締部、海上保安庁、税関は、警察のほか薬物乱用対策に関わる全ての組織の方々と協力し、今後も対策を進めていきます。

 
▲薬物事犯の捜査に当たる捜査員(イメージ)
 
▲大麻事犯の検挙人数・年齢構成の推移
 

-総裁賞受賞者一覧に戻る-

 

Back to top