第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第3章 良好な勤務環境の整備

3 心の健康づくりの推進等

令和2年度中に心の健康の問題により1箇月以上の期間勤務しなかった長期病休者の率は1.54%と、令和元年度に比べ0.03ポイント上昇しており、特に若年層の長期病休者の率は上昇傾向が続いている。

このため、人事院は各府省に対して、長時間勤務を行った職員に対する医師の面接指導等の徹底について引き続き指導するとともに、心の健康に関して本院が設けている「こころの健康相談室」について、例えば、人事院から遠方に所在している官署に勤務しており対面での相談が時間的・地理的に困難な職員や若年層が相談しやすい環境となるよう、オンライン相談の導入に向けて有識者等から意見聴取を行った。その際、心の悩みの相談については、相談者とのやりとりやその様子(表情、顔色、話し方、しぐさ等)から心身の状況を把握する必要があることから、相談者との十分なやりとりや相談者のプライバシーに配慮する必要があるといった意見があり、それを踏まえて、環境確保の配慮や専用の機器を導入する等の準備を行った。令和4年度からオンラインによる「こころの健康相談室」を人事院の本院及び4地方事務局において開設し、利用の拡大を図ることとしている。

ストレスチェック制度について、制度導入から5年が経過したこと、また、同制度導入後において、超過勤務を行った職員の健康確保措置の強化、規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)の制定、テレワークによる働き方の急速な拡大を踏まえ、同制度を活用した職場環境改善がより効果的に行われるよう、有識者から意見を聴取し、令和4年2月に報告書を取りまとめた。また、報告書を踏まえたストレスチェックを活用した職場環境改善の具体的な取組等について各府省へ通知し、一層の職場環境改善の取組を促した。

「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、民間における週労働時間が60時間以上の雇用者の割合や勤務間インターバル制度の導入企業割合、ストレスチェックでの集団分析の結果を活用した事業所の割合等の数値目標が令和3年7月30日の閣議決定により改定されるとともに、公務員についても目標の趣旨を踏まえて必要な取組を推進することとされた。これを踏まえ、上記のとおり、ストレスチェック制度の活用促進を図るとともに、「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」において、勤務間インターバル確保の方策について検討を進めている。

また、平成13年に発出した「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定指針」について、同指針の発出から約20年が経過したことから、有識者検討会を設置し、最新の医学的知見や民間の労災における検討内容、国家公務員災害補償の過去の認定事例等を踏まえた検討を行い、令和3年9月15日に当該指針の改正を行った。

今後とも、公務における過労死等防止に向けて、各府省の取組を一層促していく。

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