行政の直面する課題が複雑化・高度化する中、こうした課題に的確に対処していくためには、公務部内における人材育成はもとより、公務と民間との間の人材の流動性を高め、民間の知見を積極的に公務に取り入れていくことが重要である。こうした観点から、人事院は、各府省において民間との人材交流が円滑に行われるよう支援するための取組を積極的に進めてきている。
(1)柔軟・迅速な採用等に向けた取組
任期付職員法に基づく任期付職員の採用について、高度デジタル人材に係る特定任期付職員としての採用及び本府省の課長級・室長級への一般任期付職員の採用に関して、人事院の明示する公務及び任用の公正性の確保等に関する要件を満たす場合には人事院に協議することなく各府省限りで採用できることとした(令和4年7月26日施行)。
また、官民人事交流の交流基準において、同一の企業から所管関係のある同一部局(局単位)に連続3回までとしている制限について、局単位を課単位とするなどの見直しを行った。あわせて、各府省の負担を軽減し、手続の迅速化を図るための審査事務の合理化を実施した(令和5年1月1日施行)。
(2)柔軟・迅速な給与の決定に向けた取組
デジタル庁において特定任期付職員として任用される職員の給与について、一定の要件の下で人事院に協議することなく同庁限りで特例的な俸給月額に決定できることとする通知を同庁に対して発出した(令和4年7月1日施行)。
また、各府省における柔軟な給与決定を支援する観点から、現行制度においても、給与決定に当たり民間企業等での在職期間を国家公務員として勤務した期間と同等に評価することや前職の給与等を考慮することが可能な仕組みであること等を明文化し、判断目安や運用事例等も併せて通知した(令和4年9月12日発出)。
さらに、特に高い業績を挙げた特定任期付職員に支給される業績手当について、支給要件を明示して人事院に協議することなく各府省限りで支給できることとした(令和4年11月18日施行)。
このほか、部内職員も含めた機動的かつ柔軟な人員配置に資するよう、本府省の課長補佐や係長について抜てき任用を行う場合においても、在級期間にかかわらず、そのポストの標準的な職務の級に応じた級に昇格させることを各府省限りで可能とする枠組みを整備した(令和5年4月1日施行)。
上記の取組に加えて、各府省において採用志望者に対して事前に給与水準を明示することを支援するための給与計算支援ツールを作成し提供したほか、民間人材の採用に関する各府省からの相談や照会にワンストップで対応する「民間人材採用サポートデスク」の運用を開始するなど、様々な取組を進めてきている。