(1)マネジメント能力の向上等に係る取組
人事院は、昨年度に引き続き、マネジメント能力のかん養を図るための研修の充実に向けた取組を行うこととし、具体的には、行政研修(課長級)において、課長としてのマネジメント力を向上させるための「課長力向上コース」を新設し、試行した。また、係長級や課長補佐級などの職員についても、マネジメントに係る基礎的な知識やスキルを身に付けることが、能率的で活力あるチームづくりに主体的に取り組む力の向上につながることから、コーチング、リーダーシップ、コミュニケーション等に関する研修教材の作成などに取り組んだ。
あわせて、若年層の職員を中心に、成長を実感しながら活躍することができるよう、自身のキャリア形成について考え、仕事や能力開発への意欲を向上させる機会となる研修を充実させることとし、30歳台職員を対象とする研修の実施に加え、20歳台職員を対象とする「キャリア支援研修20」の試行などを行った。
さらに、民間企業での実務経験を有する職員等の採用が増加傾向にあることを踏まえ、これらの職員に対しても、早期に公務になじみ能力を発揮できるよう研修教材等の充実などを通じて支援した。
女性職員の登用拡大に向けては、性別や家庭の事情などに係る無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)にとらわれずに人事配置や人材育成等が行われることが重要であることから、女性職員に加えその直属上司等も参加する研修等を通じて意識改革を推進した。
(2)研修の実施形式の工夫等に係る取組
行政研修については、初任行政研修や3年目フォローアップ研修等において、過去2年間実施できなかった実地での現場訪問プログラムや、オンラインと対面を組み合わせた研修を実施することで研修内容の充実に努めた。具体的な例としては、ウェブ会議システムの機能を活用し班別での討議を行うなど、オンラインにおいても参加型カリキュラムの充実に積極的に取り組んだほか、地方や海外在住の講師からの指導や地方出先機関職員の参加機会の拡充など、オンラインの長所を生かした試みを行うとともに、対面研修を復活させることで、研修員同士の直接的な対話による相互理解や政策立案に関する視野の拡大、府省と官民を越えたネットワークの拡大に資する機会を提供した。
テーマ別研修等については、各府省からのニーズの高い研修を中心に、より多くの職員が受講できるよう、オンライン教材の充実・活用等を図るとともに、それぞれの研修について、その趣旨や目的に応じた目標設定やフィードバックの方法などを工夫しながら実効性を高められるよう努めた。
(3)派遣研修の充実に係る取組
行政官長期在外研究員制度では、派遣期間を原則2年間としているが、より多くの職員に柔軟に留学機会を付与する観点から、諸外国の1年制の大学院に1年間派遣する仕組み(1年コース)を新たに設けた(令和5年度の選抜審査を経て、令和6年度に派遣を開始する予定)。