職員の健康増進は職員のWell-being実現の土台である。今後、高齢層職員や女性職員の割合が増加していくことも念頭に置きつつ職員の健康管理施策を一層推進する必要があるが、そのための健康管理体制は必ずしも十分とは言えない。このため、本院としては、各府省における健康管理医、健康管理者及び健康管理担当者の配置状況や、心身の健康に係る各種相談体制の実態を調査し、各府省における健康管理体制を充実させるための方策についての検討を始めた。
また、公務においては、心の疾病による長期病休者の数が長期病休者全体の7割を超えた。心の疾病による長期病休者率(職員数に占める心の疾病による長期病休者数の割合)は、令和3年度(1.70%)は平成28年度(1.27%)と比べて約1.3倍となっており、メンタルヘルス対策の重要性が増している。なお、年齢階層別にみると、全ての階層で増加しているが、特に20歳台の増加の割合が高く、令和3年度(2.25%)は平成28年度(1.33%)と比べて約1.7倍となっている。
職員の心の不健康な状態を未然に防止するため創設されたストレスチェック制度について、有識者から意見を聴取し、令和4年2月に、エンゲージメントの状況等を確認できる調査項目を追加して実施することや同制度を活用して職場環境改善をより効果的に行うことなどを内容とする報告書を取りまとめた。これを踏まえ、ストレスチェックの更なる活用、メンタルヘルス施策の推進に向けた健康管理体制の充実等の具体的な取組について、各府省への通知や研修等において周知を図ってきたところであり、引き続きこれらの取組を促していく。
さらに、人事院が設けている「こころの健康相談室」については、相談を希望する職員や各府省の担当者がより相談しやすい体制となるよう、本年度より一部の窓口においてオンライン相談を導入したところである。令和5年度には、全ての窓口でオンライン相談に対応できるよう体制を拡充するとともに、その活用を周知することにより、心の健康づくりを一層推進する。