社会全体として、男性雇用者と無業の妻からなる世帯数が減少する一方で、雇用者の共働き世帯数が増加している(図1-1)。また、近年、一般職国家公務員について、男性の育児休業取得率は急速に増加し、直近のデータでは60%を超えているなど、育児をパートナーと分担しながら働くことが一般的になっている(図1-2)。令和4年版「男女共同参画白書」によれば、「昭和の時代、多く見られたサラリーマンの夫と専業主婦の妻と子供、または高齢の両親と同居している夫婦と子供という3世代同居は減少し、単独世帯が男女全年齢層で増加している。人生100年時代、結婚せずに独身でいる人、結婚後、離婚する人、離婚後、再婚する人、結婚(法律婚)という形を取らずに家族を持つ人、親と暮らす人、配偶者や親を看取った後ひとり暮らしをする人等、様々であり、一人ひとりの人生も長い歳月の中でさまざまな姿をたどっている。」とされ、個々人の生活の在り方は多様化している。
近年、各府省においては、テレワークやフレックスタイム制の活用による柔軟な働き方も進展してきた。テレワークについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い普及し、内閣官房内閣人事局(以下「内閣人事局」という。)が国家公務員を対象に実施した「令和3年度働き方改革職員アンケート結果」(令和4年4月)によれば、アンケート回答者(本府省等職員)の約6割は月1回以上テレワークを実施している(図1-3)。
また、フレックスタイム制については、平成28年4月1日に、フレックスタイム制を利用できる職員が原則全職員に拡充され、直近の利用状況は表1のとおりである(令和3年10月時点)。府省ごとにばらつきが見られるものの、積極的に活用が図られている府省もある。さらに、令和5年4月1日からは、人事院規則の改正により、1日の最短勤務時間やコアタイム、休憩時間等をより柔軟に設定することが可能となった。また、人事院が開催した「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」(座長:荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)最終報告においても、選択的週休3日の対象職員の拡大や年次休暇の使用単位の見直し等が提言されており、今後、職員の働き方は更に柔軟なものとなっていくと考えられる。
令和4年9月に人事院が公表した「総合職試験等からの新規採用職員に対するアンケート調査結果」によると、優秀な人材を確保するために必要な取組として「職場全体の超過勤務や深夜勤務の縮減を図る」(64.3%)、「フレックスタイム制やテレワークの活用等による働き方改革を推進する」(42.5%)を挙げており、ワーク・ライフ・バランスに対する意識の高まりや働き方に対するニーズの多様化が読み取れる(図1-4)。特にこれからの行政を担う若年層(40歳未満の層をいう。以下同じ。)の職員(以下「若年層職員」という。)を中心に、仕事だけではなく、妊娠、出産、育児、介護、社会活動、学び直し、余暇等自身の生活も重視する職員が今後更に増加すると考えられる。
今後の公務組織においても、このように個々の職員のライフスタイル、ライフステージに応じた多様な働き方に対するニーズに対応していく必要がある。
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