第1編 人事行政

第2部 公務組織の人材マネジメントにおけるデータやデジタルの活用の可能性

第2章 選ばれる組織となるために

第1節 令和2年度「公務職場に関する意識調査」の再分析

2 「公務の課題」の分析

若年層職員の低評価グループ、高評価グループごとに「公務の課題」として記載されている単語を抽出した結果は表2-4のとおりであり、同表中に出現する単語の実際の記述内容の例は表2-5(低評価グループ・高評価グループに共通して抽出されたもの)及び表2-6(低評価グループ)のとおりである(低評価グループの人数:1,046人、高評価グループの人数:962人)。

「評価(低1、高7)」、「人事評価(低5)」など人事評価に関連する単語、「業務量(低2、高2)」、「残業(低4、高6)」、「人員(低6、高9)」、「効率化(低10、高4)」、「超過勤務(高8)」など業務量に関連する単語、「環境(低3、高1)」、「職場環境(高3)」など職場環境に関連する単語は低評価グループ、高評価グループに共通して抽出された(括弧内の「低」は低評価グループ、「高」は高評価グループを指す。)。

また、低評価グループにおいては「管理職(7)」「人材(8)」「給与(9)」が抽出された。

「公務の課題」に関する単語 上位10位

低評価グループ・高評価グループに共通して抽出された「公務の課題」の主な記述内容の例

低評価グループによる「公務の課題」の主な記述内容の例

【コラム】世代で見る意識

若年層職員と40歳以上職員との意識の違いを確認することを目的として、職員意識調査における40歳以上職員の低評価グループの「公務の課題」の再分析を行い、若年層職員の低評価グループと結果を比較した(40歳以上職員の低評価グループの人数:1,443人)。結果は、表2-7のとおりである。

「公務の課題」に関する単語 上位10位(若年層・40歳以上それぞれの低評価グループ)

「公務の課題」に関する自由記述式の設問への回答において、抽出された単語は、40歳以上職員では若年層職員と比べて主に次のような違いがある。

  • ・「業務量」という単語の順位が低くなり、「残業」、「効率化」という単語が10位以内に出現しなくなる。
  • ・「給与」という単語は10位以内に出現しなくなる。
  • ・「国民」という単語が10位以内に出現する。
  • ・「人事」、「人事異動」という単語が10位以内に出現する。

以上から、若年層職員と40歳以上職員を比較すると、若年層職員では「残業」、「給与」という単語が出現しており、自身の日々の勤務状況や待遇に対してより関心が強いこと、一方、40歳以上職員では「国民」という単語が出現しており、自身の仕事と国民とのつながりをより意識していることがうかがえる。

40歳以上職員では「人事」、「人事異動」という単語が出現する。自由記述欄を確認したところ、これらの単語と併せて「転居」、「転勤」、「広域異動」という単語も用いられていたことも踏まえると、40歳以上職員は、特に転居を伴う人事異動に対して課題意識を有していることが推測される。

また、若年層職員、40歳以上職員いずれにおいても「評価」や「管理職」という単語が抽出されたことに着目すると、年代にかかわらず、管理職員のマネジメント能力について課題意識を有していることがうかがえる。

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