第1編 人事行政

第2部 公務組織の人材マネジメントにおけるデータやデジタルの活用の可能性

第2章 選ばれる組織となるために

第1節 令和2年度「公務職場に関する意識調査」の再分析

人事院は、令和3年2月、日本国内に勤務する各府省の一般職の国家公務員(常勤職員)約28万人を対象に「公務職場に関する意識調査」(以下「職員意識調査」という。)を行い(有効回答数:61,532人)、調査結果を令和2年度年次報告書第1編第2部において報告した。同報告書では、「公共に奉仕する職場風土」、「法令の理解・遵守」及び「ハラスメント防止」の領域については職員から肯定的な評価がなされている一方、「組織マネジメント」(特に同領域のうち「業務量に応じた人員配置」、「業務の効率化」及び「人事評価の能力伸長への活用」の質問項目)や「適正な業務負荷」の領域については職員、特に若年層職員において否定的な傾向が見られたことを報告した。

本節では、職場に対する若年層職員の意識を具体的に把握し、課題を浮き彫りにする観点から、職員意識調査の質問項目のうち、「府省庁の職場満足度」(所属組織に対する満足の度合い)、「府省庁の職場推奨度」(所属組織を職場として推奨できる度合い)の評定が5段階評定(5:まったくその通り、4:どちらかといえばその通り、3:どちらともいえない、2:どちらかといえば違う、1:まったく違う)でいずれも2以下である回答者(以下「低評価グループ」という。)と、いずれも4以上である回答者(以下「高評価グループ」という。)に分類し、若年層職員による回答内容に着目して再分析を行った(若年層職員の回答者数:19,431人)。

分析においては、中川・湯本・森(2003)1に基づき、専門用語自動抽出ツールを用いて、「府省庁の職場満足度」の評定理由及び「公務の課題」に関する自由記述式の設問への回答に出現する単語の出現頻度や連接頻度に基づいて単語の抽出を行った。さらに、抽出された単語が含まれる回答について、記載内容を実際に確認した上で、「府省庁の職場満足度」の評定理由や「公務の課題」の内容に直結している単語について順位付けを行い、低評価グループ・高評価グループ間での共通点や相違点を確認した。

  1. 1 中川裕志、湯本紘彰、森辰則(2003)「出現頻度と連接頻度に基づく専門用語抽出」『自然言語処理』2003年10巻1号、pp.27-45
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