第1編 人事行政

第2部 公務組織の人材マネジメントにおけるデータやデジタルの活用の可能性

第3章 民間企業、外国政府等の事例から学ぶ

第1節 民間企業等の事例

4 株式会社ベネッセコーポレーション(岡山県岡山市)(システムを活用した評価・学習・キャリア開発の連動強化の取組)

(1)「評価」、「学習」、「キャリア開発」を一連のものとして捉えることを重視したシステム設計

株式会社ベネッセコーポレーションでは、採用、人事評価、異動配置、人材育成、キャリア開発など幅広い人事領域でデータやデジタルを活用している。同社は、特に「評価」と「学習」と「キャリア開発」の要素を一連のものとして捉えることを重視しており、それらの領域に関係する情報、例えば従業員の評価結果、知識・スキルの保有状況、研修受講状況、キャリア志向、公募情報等については、一つのシステムに集約して管理している。

(2)システムの活用状況

評価については、評価期間ごとに、システム上で個人目標の設定・振り返り・評価が完結できるようになっている(基本的に、表計算ソフトとメールベースでの上司・部下あるいは上司・人事担当者間のやり取りはない。)。目標の内容や評価結果に加えて、上司は部下の能力開発上の課題やアドバイスを言語化しシステム上で蓄積することとしており、上司・部下は随時この情報を参照しながらコミュニケーションをとることができている。

また、同社では従業員ごとの能力保有状況がきめ細かく把握され、同システムに蓄積されている。例えば、同社では従業員全員がデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のアセスメントを受検し、その結果測定されたDX関連知識の保有状況に基づいて、システムから、従業員一人一人が受けるべき研修が自動で提案される仕組みとなっている。

さらに、キャリア開発に関する情報も同システムで確認できる。同社が年に1回行う公募において、従業員は同社内のポジションの空き状況を同システム上で確認し、空席のポジションに応募することができる。 上記のとおり、システム上に、従業員各人の目標の内容やこれまでの評価結果、パフォーマンス上の課題、能力保有状況、本人のキャリア志向等が一元的に蓄積されている。このように「評価」と「学習」と「キャリア開発」を一連のものと捉えることで、従業員目線では、「次に就きたい仕事」に就くために必要なことは何かを明確に認識できるようになっている。

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