第3章において、サーベイを用いて組織の状況を可視化し、改善に結び付けている民間企業の事例を複数紹介した。事例から、同一企業の中でも組織課題は千差万別であり、かつ、管理職層の人的リソースは有限であるので、まず管理職層が自組織の課題を認識し、優先順位をつけて取り組める仕組みをつくることが、従業員個々人へのきめ細かなマネジメントを行う上で重要であることが示された。また、自組織のエンゲージメントの経年変化に着目して組織ごとの課題を特定し、具体的な対応策を検討・実施し、その結果を次回のサーベイで評価するという「組織改善のPDCAサイクル」を実装していくことの重要性が数多く述べられた。
公務組織においても、近年、エンゲージメントサーベイを実施する府省は増えてきているが、実施後の具体的な組織改善の取組に結び付けられている府省は一部である。今後、各府省において、前述の「組織改善のPDCAサイクル」を実装していくことが重要である。また、一連の取組を通して得られた改善への知見については、各府省内で部局横断的に共有することが望まれる。