第3章において、タレントマネジメントシステム等を活用しつつ、各ポジションに求められる知識・スキル等の要件や各従業員が持つ知識・スキル、職務経験等の可視化に取り組んだ民間企業の事例を紹介した。事例では、これらの可視化をすることで、従業員各人が今後習得すべき知識・スキルが明確化され、それを踏まえた人材育成や人事異動が行われていた。
これら知識・スキル等の可視化は、職員個別の状況を踏まえたきめ細かい人材マネジメントを行う基盤となる取組であり、公務組織における実施可能性についても探っていくべきである。まずは、例えば国家公務員に共通して求められる知識・スキル、あるいは府省内の業務分野や役職段階ごとに求められる知識・スキルの可視化や、職員各人が保有している知識・スキル、これまでの業務経験等についての情報を可視化することの是非やその方法等について、検討する必要がある。
なお、職員各人のこれまでの全ての経験を総合して上司と部下が一緒に今後のキャリア開発を考える観点からも、職員が組織外へ出向する場合、これまで職員が身に付けた知識・スキル等の情報は出向先の管理職員等に引き継がれる仕組みとするとともに、出向先において職員が身に付けた知識・スキル等の情報が出向元の管理職員等にも引き継がれる仕組みとすることも重要である。