第1編 人事行政

第2部 公務組織の人材マネジメントにおけるデータやデジタルの活用の可能性

第4章 公務組織の人材マネジメントにおけるデータやデジタルの活用の可能性

第1節 公務組織において検討に着手すべき論点

これまでの調査を通して、職員の能力向上やキャリア形成を支援する仕組みを充実させることは、若年層を公務にひきつける一つの要素となり得ることが示された。このような仕組みを充実させるためには、人事担当部局や管理職員は、職員の超過勤務等の労務管理や日々の業務管理に加えて、職員に適時に適切な指導や助言を行うべく、職員を取り巻く状況や職員のキャリア志向などの情報を随時把握する必要がある。実際、一部の府省においては、職員との面談の機会を増やす、職員に異動の理由等を丁寧に説明するといった取組を行っている。

しかし、このような取組は、人事担当部局や管理職員に従来よりも多くの業務量を求めるものである。公務組織全体として人的リソースが限られる中でこれを実現するには、人事管理業務をより効率的に変革していくことが急務であり、そのためにはデータやデジタルの活用が有効であると既に述べた。

この認識の下、前章において、民間企業、外国政府等の人事運営におけるデータやデジタルの活用の取組を概観してきた。

本章では、これらの事例やそこから得られた知見を踏まえ、公務組織の人材マネジメントにおいてデータやデジタルの活用を進めていくため、検討に着手すべき論点について述べる。これらの論点について、今後、人事院、内閣人事局、デジタル庁等で連携し、各府省の人事業務プロセスの現状や課題等についてより詳細に把握した上で、検討を深めていくこととする。

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