行政の基盤である公務員制度を整備し、ガバナンスを向上させるという開発途上国が抱える共通課題を踏まえ、人事院は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催する開発途上国の政府職員を対象とした研修の実施等に協力している。
(1)人事管理研修
各国の人事行政の改善に資することを目的とし、各国の中央人事行政機関等の上級幹部職員を対象とする「上級人事管理セミナー」と、課長補佐級職員を対象とする「人事行政セミナー」の2コースが実施されている。
いずれのコースも、我が国の人事行政について、その基本的な考え方や運用、新たな動向等を紹介するとともに、討議や各国との比較研究を通じ、各国の人事行政の実情に適合した人材マネジメントを参加者自らが考えることを内容としている。
各コースの実施状況は次のとおりである。
ア 上級人事管理セミナー
令和4年度は、6か国・地域6人を対象に、約2週間にわたりオンラインで実施された。
平成3年度の開始から令和4年度までの参加者は、合計70か国・地域289人である。
イ 人事行政セミナー
令和4年度は、8か国8人を対象に、約2週間にわたりオンラインで実施された。
平成11年度の開始から令和4年度までの参加者は、合計75か国・地域244人である。
(2)上級国家行政セミナー
各国の中央政府機関の上級幹部職員を対象に、我が国のガバナンスと社会経済の発展の経緯を紹介しつつ、様々な政策課題についての討議等を通じて、各国の社会経済の発展に資する行政の在り方を考える研修である。
令和4年度は、9か国11人を対象に、約3週間にわたりオンラインで実施された。昭和61年度の開始から令和4年度までの参加者は、合計82か国・地域370人である。
(3)国別の技術協力
ア キルギス及びウズベキスタン
キルギス及びウズベキスタンから、公務員の採用・選考制度の改善に関する支援の要望があったことを受け、JICAが両国政府の公務員制度担当機関職員を対象とした研修を実施し、人事院は同研修の実施に当たって協力・支援を行った。第1回研修は、令和4年3月及び同年8月の2回に分けて、オンラインにより、我が国の国家公務員の採用制度・試験制度、人材育成・研修等の各種制度に関する講義などを実施した(参加者はキルギス20人、ウズベキスタン12人)。
第2回研修は、令和5年3月に訪日研修の形式で、第1回研修とほぼ同内容の研修を実施した(参加者はキルギス9人、ウズベキスタン6人)。
イ ベトナム
公務員採用試験の改善に取り組んでいるベトナム政府に対し、JICAの技術協力プロジェクトを通じて、人事院は協力・支援を行っている。令和4年度には、同国政府が採用試験の状況や課題の把握のために行った調査やワークショップに際し、助言・指導を行った。