◉ 国会及び内閣に対し、①国公法に定める情勢適応の原則に基づき、官民の給与水準を均衡させるための月例給及び特別給の引上げ、②給与制度のアップデートとして、様々な側面から包括的な給与制度の見直しを行うこと等を内容とする報告及び勧告を行い、法改正を経て、勧告どおりの給与改定がなされた。
令和6年8月8日、国会及び内閣に対し、国公法に定める情勢適応の原則に基づき、公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させるため(民間準拠)、月例給及び特別給を引き上げるとともに、現下の人事管理上の重点課題に対応するため、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」(給与制度のアップデート)として、様々な側面から包括的な給与制度の見直しを行うこと等を内容とする報告及び勧告を行った。
内閣は、人事院勧告どおり給与改定を行うこと等を閣議決定し、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律」(令和6年法律第72号)が制定され、勧告どおりの給与改定がなされた。
(1)月例給
民間と公務の令和6年4月分給与を調査し、主な給与決定要素を同じくする者同士を比較した結果、国家公務員給与が民間給与を平均11,183円(2.76%)下回っていたことから、初任給を始め若年層に特に重点を置きつつ、全職員について俸給表の引上げ改定を行った。
(2)特別給
直近1年間(令和5年8月~令和6年7月)の民間の支給割合と公務の年間の支給月数を比較した結果、国家公務員の期末手当・勤勉手当の年間の平均支給月数(4.50月)が民間事業所の特別給の支給割合を0.10月分下回っていたことから、支給月数を0.10月分引き上げて4.60月分とし、引上げ分は民間の支給状況等を踏まえ、期末手当・勤勉手当に0.05月分ずつ均等に配分した。
(3)初任給調整手当及び委員、顧問、参与等の手当
医師の初任給調整手当や委員、顧問、参与等の手当について所要の改定を行った。
(4)寒冷地手当
民間における同種手当の支給額が、公務を11.3%上回っていたことから、寒冷地手当の月額を11.3%引き上げた。
また、新たな気象データ(「メッシュ平年値2020」(気象庁))が提供されたことから、当該データに基づき、支給地域の改定を行った。さらに、内閣総理大臣が定める官署に勤務する職員の寒冷地手当の支給について、職員の居住地に関する要件を廃止した。なお、今般の見直しに伴い支給地域から外れる地域等に引き続き勤務する職員に対し、所要の経過措置を講じた。