社会経済情勢、国際情勢が急速に変化する中、生産年齢人口が減少する我が国においては、人材獲得競争が激しさを増している。働き方やキャリア形成に対する若年層の意識変化を背景として、公務の人材獲得の競合となる民間企業等では、採用手法、職場環境、雇用慣行や処遇などの面で変革が行われている。
就職活動を行う学生等にとっては、売り手市場が続く中で、自身の希望に合う就職先を吟味することが可能となっている。世代による特徴を一括りにして論ずることはできないが、1990年代半ばから2010年前後に生まれたいわゆるZ世代の学生は、職業選択において、自分らしさややりがいを求めるとともに、仕事だけでなくプライベートの充実への関心が強く、社会の先行きが見通せない中で労働市場での価値向上のためのキャリア形成や短期間での成長を重視するといった特徴が指摘されている。
また、いわゆるデジタルネイティブとして育ったZ世代の学生にとって、情報収集や情報の比較に当たってデジタルツールを駆使して各種SNS等を活用することは当然の行動様式となっている。情報があふれる社会となる中、採用側としては、発信した情報が大量の情報に埋もれないよう、自分たちの組織の魅力を個々の学生の価値観に応じて的確に発信することが重要となっている。
このような人材確保を取り巻く状況を踏まえると、適切な処遇や勤務環境の整備を前提とした上で、厳しい人材獲得競争の中で、求職者に自分たちの組織を働く場として選んでもらうために、人材獲得における競合相手と差別化した魅力を戦略的に訴求していくことが重要と言える。