第1編 人事行政

第2部 「選ばれる」公務職場を目指した魅力向上・発信戦略
    ~働く場としての公務のブランディング~

第1章 公務のブランディングの必要性

第2節 公務組織における魅力向上・発信の取組状況

国家公務員採用試験の申込者数は、長期にわたり減少傾向が続いており、また、若年層職員の離職が増加するなど、国家公務員の人材確保は危機的状況にある。

こうした中、公務においては、近年、採用試験の見直し(試験実施時期の早期化、総合職試験教養区分の受験可能年齢の引下げ、一般職試験への教養区分導入等)を行うとともに、超過勤務の縮減や柔軟な働き方の推進(各府省の勤務時間の管理等に関する調査・指導を行う部署を人事院に設置、フレックスタイム制の見直し、勤務間のインターバル確保の努力義務導入等)、初任給の引上げや諸手当の見直しを含む給与制度のアップデートなど、公務の魅力を向上させるための施策を講じてきた。また、本年3月の人事行政諮問会議最終提言において、新時代の人事管理を実現するための具体的施策が提言されており、人事院としても、今後、同提言の内容を受け止め、公務の魅力向上のための取組を更に進めることとしている。

各府省においても、働き方やマネジメントの改善を進めるとともに、組織の使命や目指す姿、行動指針などを、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)等の形で定めることにより、組織の目指す方向性や職員共通で重視する価値を改めて明確にする等の取組が行われている。

このように、公務職場の魅力「向上」に向け、様々な取組が進められている。その一方で、魅力の「発信」についても、人事院、内閣官房内閣人事局、各府省の各主体が、説明会の充実や動画・SNSの活用などそれぞれ工夫しながら取り組んでいる。しかしながら、国家公務員採用試験の全体の申込者数を増加に転じさせるには至っていないなど、必ずしも大きな成果につながっているとは言えない状況である。

厳しい人材獲得競争の中、各主体がそれぞれで取り組んでいるだけでは、公務全体として優秀で志のある人材を十分に確保できなくなるおそれがある。人材の獲得を最重要課題として位置付け、公務内外の人材から積極的に「選ばれる」公務組織を目指して、公務全体としての魅力「発信」にも力を入れて取り組んでいく必要がある。

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