第1編 人事行政

第2部 「選ばれる」公務職場を目指した魅力向上・発信戦略
    ~働く場としての公務のブランディング~

はじめに

国家公務員は、国民の生活・安全を守るため、国内外で奮闘している。その仕事は、国家の屋台骨を支える極めて重要なものである。しかしながら、国家公務員の魅力は何か、国家公務員として働くやりがいとは何かということが、今、改めて問われている。

国家公務員採用試験の志望者の減少や若手職員の離職増加など、公務の人材確保は依然として危機的な状況にある。こうした中、公務においては、これまで、採用試験の見直しを行うとともに、魅力「向上」の観点から、超過勤務の縮減や柔軟な働き方の推進、給与制度のアップデートなどに取り組んできた。また、本年3月に取りまとめられた人事行政諮問会議最終提言において、公務の人材確保の危機に対応するため、新時代の人事管理を実現するための具体的施策が示された。人事院としても、同提言の内容を受け止め、公務の魅力向上のための取組を更に進めることとしている。

また、人事院は、令和6年8月の公務員人事管理に関する報告において、公務の魅力の発信強化に取り組んでいくことを表明しており、人事行政諮問会議最終提言においても、「国家公\務員という仕事のブランディングを人材確保の観点から戦略的に行うべき」とされている。公務職場の魅力の外部への「発信」は、人事院、内閣官房内閣人事局、各府省それぞれで取り組んでいる。しかしながら、国家公務員として働くやりがいなどについて、必ずしもその魅力が、国民各層、特にこれからの社会を担う若年層に十分に伝わっているとは言えない状況にある。厳しい人材獲得競争の中で、優秀で志のある人材を公務に集めるためには、人材確保を最重要課題として位置付けて、公務内外の人材から積極的に「選ばれる」魅力的な公務組織を目指す必要がある。そのためには、公務職場内における魅力の浸透・向上に取り組むとともに、その魅力を外部に対して訴求力を持った形で効果的に発信していくことが不可欠である。

そこで、本報告において、「公務のブランディング」として、労働市場において魅力として差別化できる公務職場の価値を整理した上で、その魅力を公務内で浸透させることによる内側からの魅力「向上」と、公務外への戦略的な魅力「発信」を一体的、整合的に展開する取組を提言する。

公務のブランディングは一朝一夕に行えるものではなく、公務全体が連携して、中長期的視点で取り組んでいくべきものである。そこで、今後の継続的な取組として、公務のブランディングに関する府省横断チームを立ち上げ、各府省が一丸となって公務の魅力の言語化や発信に取り組むことも提言している。

今後、公務職場の魅力向上と公務外への魅力発信の取組を両輪として継続的に進めることで、公務に優秀で志のある人材を確保することを可能とし、質の高い行政サービスの提供及び国民生活の一層の向上を図っていくこととする。

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