第1編 人事行政

第2部 「選ばれる」公務職場を目指した魅力向上・発信戦略
    ~働く場としての公務のブランディング~

第1章 公務のブランディングの必要性

第3節 国家公務員に対して持たれているイメージ

1 国家公務員イメージ調査

国家公務員の仕事のやりがいや働き方について、国民各層から持たれているイメージを把握し、魅力向上・発信施策の検討材料を得るため、令和7年2月に、職業等を問わず6,000人を対象に意識調査(以下「国家公務員イメージ調査」という。)を実施した1。この調査は他の業界と比較する形で実施し、比較する業界として、人材獲得において国家公務員と競合する可能性の高い、商社、コンサルタント・シンクタンク、金融機関、メーカー、地方公務員を設定した。

(1)「やりがいのある仕事ができている」についてのイメージ

やりがいのある仕事ができているイメージがあるかという設問への回答においては、本府省に勤務する国家公務員(以下「国家公務員(本府省)」という。)及び本府省以外に勤務する国家公務員(以下「国家公務員(地方)」という。)ともに、商社やコンサルタント・シンクタンク、メーカーと比べると、肯定的回答の割合が低かった。地方公務員も同様に肯定的回答の割合が低く、国・地方を合わせた公務員全体に対して、やりがいについてポジティブなイメージを持たれていないことが分かる(図1-1)。

やりがいのある仕事ができている(全年代計)
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同設問を、就職活動中の者が多いと考えられる「20歳台の学生」に絞って見ると、全年代計に比べて全体的に肯定的回答の割合が高くなった。他方で、国家公務員(本府省)のみ、肯定的回答の割合は全年代計よりも更に低くなった。学生からは、特に国家公務員(本府省)の仕事のやりがいについて、ポジティブなイメージを持たれてないことが分かる(図1-2)。

やりがいのある仕事ができている(20歳台学生)
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(2)「仕事を通じたスキルアップや成長の機会が多い」についてのイメージ

仕事を通じたスキルアップや成長の機会が多いイメージがあるかという設問への回答においては、全年代計でも、「20歳台の学生」に絞って見ても、国家公務員(本府省)及び国家公務員(地方)ともに、肯定的回答の割合が低かった。また、地方公務員も同様であり、国・地方を合わせた公務員全体に対して、スキルアップや成長の機会にポジティブなイメージを持たれていないことが分かる(図1-3、図1-4)。

仕事を通じたスキルアップや成長の機会が多い(全年代計)
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仕事を通じたスキルアップや成長の機会が多い(20歳台学生)
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(3)「個人の事情に合わせて柔軟な働き方ができている」についてのイメージ

個人の事情に合わせて柔軟な働き方ができているイメージがあるかという設問への回答においては、全年代計で見ると、肯定的回答の割合に顕著な差は見られないものの、国家公務員(本府省)に対する否定的回答の割合は、他と比較して高かった(図1-5)。

個人の事情に合わせて柔軟な働き方ができている(全年代計)
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同設問を「20歳台の学生」に絞って見ると、国家公務員(本府省)では、肯定的回答の割合が全年代計と比べて低くなり、また、否定的回答の割合も高くなった。国家公務員(本府省)の柔軟な働き方について、特に学生からは、ネガティブなイメージを持たれていることが分かる(図1-6)。

個人の事情に合わせて柔軟な働き方ができている(20歳台学生)
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(4)「残業が少ない」についてのイメージ

残業が少ないイメージがあるかという設問への回答においては、全年代計で見ると、国・地方を合わせた公務員全体として、肯定的回答の割合が民間企業を大きく上回っている(図1-7)。

残業が少ない(全年代計)
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一方で、同設問を「20歳台の学生」に絞って見ると、国家公務員(本府省)では、全年代計と比較して肯定的回答の割合がかなり低くなっている。国家公務員(本府省)の残業について、学生からはポジティブなイメージを持たれていないことが分かる(図1-8)。

残業が少ない(20歳台学生)
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  1. 1 6,000人を対象に、令和7年2月14日から同月25日までの間、実施。専用のウェブサイト上で回答する方法とし、回答は無記名。
  2. 回答者の属性の内訳は以下のとおり。

    性別:男性2,994人、女性2,994人、無回答12人。年齢:15~19歳745人、20歳台1,255人、30歳台1,000人、40歳台1,000人、50歳台1,000人、60歳台以上1,000人。

    グラフ記載の割合については、小数第2位を四捨五入しているため、内訳の合計が100.0とならない場合がある。

    本報告では、「全くそのとおり」及び「どちらかといえばそのとおり」を合わせたものを肯定的回答、「どちらかといえば違う」及び「全く違う」を合わせたものを否定的回答としている。

    その他本報告に掲載したものも含め国家公務員イメージ調査の結果については、https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/sankoudata.htmlに掲載している。

国家公務員イメージ調査

【コラム1】小中高生から見た国家公務員のイメージ

今回の国家公務員イメージ調査では、小中高生は対象としていないが、未来を担うこどもたちが国家公務員に対して持つイメージを把握し、それに応じた対応を考えることは重要である。

民間企業が実施する各種調査を見ると、こどもたちが将来なりたい職業として、「公務員」は上位となることが多い。「公務員」としてイメージするものは様々と考えられるが、少なくともネガティブな印象は持たれていないことがうかがえる。

また、人事院では、小中高生を対象に、職員を学校に派遣して国家公務員の仕事内容などについてPRする「出前授業」などの取組を行っている。本報告を取りまとめるに当たり、令和6年度に「出前授業」に参加した一部の小学生に対して、学校の御協力を頂いた上で、国家公務員として「働いてみたい理由」、「働いてみたいと思わない理由」などについてアンケートを行った(回答者数:小学校6年生43人)。その結果、そもそも「国家公務員のことをよく知らない」という回答が多数であった。

前記の国家公務員イメージ調査においても、特に国家公務員(本府省)について「イメージがわかない」と回答した者の割合が高いことを踏まえると、国家公務員がどういう存在なのか、どのような仕事をしているのかを知ってもらう取組が不可欠である。

2 就職活動を行う学生等からのイメージ

人事行政諮問会議最終提言の参考資料で紹介されている「人事行政諮問会議事務局によるヒアリング等の概要(学生)」2や、人事院が令和6年4月に公表した「優秀な人材確保に資する採用戦略の検討を行うための有識者との意見交換の結果」3などによると、就職活動を行う学生等からは、国家公務員の業務量、業務内容、労働時間、処遇、身に付くスキル等についてネガティブな印象を持たれている状況にある。

国家公務員のやりがいを理解しつつも、就職先として選択しない行動につながっている状況がうかがわれるとともに、成長意欲を持つ者にとっては、キャリアパスや身に付くスキルの不透明さもネックになっていると言える。


  1. 2 令和7年3月人事行政諮問会議最終提言参考資料「人事行政諮問会議事務局によるヒアリング等の概要(学生)」https://www.jinji.go.jp/content/000009258.pdf
  1. 3 令和6年4月人事院「優秀な人材確保に資する採用戦略の検討を行うための有識者との意見交換の結果」https://www.jinji.go.jp/seisaku/ninmen/ninyou/kikakuikenkoukan_00002.html
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