1 令和6年度における採用状況
職員の採用は、公開平等の競争試験によることが原則である。採用試験に合格した者は、採用試験ごとに作成される採用候補者名簿(以下「名簿」という。)に記載される。採用に当たっては、人事院が、任命権者の求めに応じ、名簿を示し、各府省等の任命権者は、名簿に記載された者の中から面接を行い、その結果を考慮して採用(以下「試験採用」という。)することとなる。令和6年度中の名簿からの採用は、その大半が令和5年度に実施した採用試験の結果に基づき作成された名簿から行われている。
他方、係員の官職以外の官職、教育職、医療職のように採用試験を実施していない官職及び原則として競争試験により採用することとされている官職のうち特別な知識、技術等を必要とする官職等については、競争試験以外の能力の実証に基づく試験の方法である選考による採用(以下「選考採用」という。)が行われている。
(1)採用候補者名簿からの採用
ア 総合職試験名簿からの採用状況
総合職試験(院卒者試験)及び総合職試験(大卒程度試験)の名簿(以下「総合職試験名簿」という。)からの令和6年度の採用者数は799人となっており、令和5年度における総合職試験名簿からの採用者数と比べると24人増加している(表1-3、表1-4、資料1-19-1、資料1-19-2)。

国家公務員採用総合職試験の年度別、学歴別の合格者数及び採用者数のCSVファイルはこちら
イ 一般職試験名簿からの採用状況
一般職試験(大卒程度試験)名簿からの令和6年度の採用者数は3,606人となっており、令和5年度における一般職試験(大卒程度試験)名簿からの採用者数と比べると94人増加している(表1-3)。
また、2023年度一般職試験(高卒者試験)名簿からの採用者数は1,598人であり、2022年度一般職試験(高卒者試験)名簿からの採用者数と比べると73人増加している(表1-3)。
(2)総合職試験相当の試験又は一般職試験相当の試験による採用
特許庁で採用する意匠学や農林水産省及び厚生労働省で採用する獣医学等の専門的知識又は技術を必要とする官職については、採用予定数が少ないこと等から採用試験は行っていないが、選考の一形態として総合職試験相当の試験又は一般職試験相当の試験を行っている。試験の内容及び方法は、総合職試験又は一般職試験とほぼ同様であり、人事院は、基礎能力試験問題の提供、専門試験問題の作成指導等の援助を行っている。
令和6年度においては、総合職試験(院卒者試験)相当の試験として獣医学区分、総合職試験(大卒程度試験)相当の試験として意匠学区分、一般職試験(大卒程度試験)相当の試験として畜産、水産、船舶工学及び原子力工学の4区分について実施した(資料1-20-1)。
なお、令和5年度に実施した総合職試験(院卒者試験)相当の試験により採用された者は22人、総合職試験(大卒程度試験)相当の試験により採用された者は3人、一般職試験(大卒程度試験)相当の試験により採用された者は60人となっている(資料1-20-2)。
2 「一般職の国家公務員の任用状況調査」の実施
人事院では、一般職の国家公務員の任用実態を把握し、今後の任用施策等人事行政全般の検討に資するため、「一般職の国家公務員の任用状況調査」(以下「任用状況調査」という。)を毎年実施している。令和6年度における任用状況調査は、令和5年度に在職した一般職の国家公務員を対象として実施した。
(1)在職状況
令和6年1月15日現在の一般職の職員(休職者、専従休職者、国際機関等派遣職員、交流派遣職員、育児休業職員及び再任用フルタイム勤務職員を含み、検察官、臨時的任用の職員、常勤労務者及び非常勤職員を除く。)の在職者数(同日付けで辞職した者を除く。)は285,366人であり、前年と比べ439人の増加となっている。
このうち、給与法適用職員は275,719人(前年比158人増)、行政執行法人職員は7,060人(前年比43人増)となっている(図1-2)。
また、在職者を男女別に見ると、男性は217,028人、女性は68,338人であり、その構成比は男性76.1%、女性23.9%となっている。

職員の俸給表別在職状況(令和6年1月15日現在)のCSVファイルはこちら
在職者のうち、採用試験により採用された者(以下「試験任用者」という。)の総数は238,451人(男性180,404人、女性58,047人)である。これを試験の種類別に見ると、総合職試験(院卒者試験)による者は2,111人(試験任用者全体の0.9%)、総合職試験(大卒程度試験)による者は3,951人(同1.7%)、一般職試験(大卒程度試験)による者は28,599人(同12.0%)、一般職試験(高卒者試験)による者は10,286 人(同4.3%)、一般職試験(社会人試験(係員級))による者は93 人(同0.0%)、専門職試験(大卒程度試験)による者は17,960人(同7.5%)、専門職試験(高卒程度試験)による者は18,025人(同7.6%)、経験者採用試験による者は1,377人(同0.6%)、Ⅰ種試験及びこれに相当する試験による者は10,378人(同4.4%)、Ⅱ種試験及びこれに相当する試験による者は46,925人(同19.7%)、Ⅲ種試験及びこれに相当する試験による者は81,666人(同34.2%)、上級乙種試験及びこれに相当する試験による者は16,899人(同7.1%)、中級試験及びこれに相当する試験による者は181人(同0.1%)となっている。在職者総数に対する試験任用者の割合は83.6%であり、前年度に比べ0.5ポイント低くなっている。
また、給与法適用職員のうち、試験採用を行っている俸給表の適用職員について試験任用者の割合を見ると、在職者が最も多い行政職俸給表(一)では88.7%で、前年度に比べ0.9ポイント低くなっている。
その他の俸給表における試験任用者の割合は、専門行政職俸給表70.1%、税務職俸給表95.4%、公安職俸給表(一)73.0%、公安職俸給表(二)88.5%、研究職俸給表35.5%となっている。
(2)採用状況
令和5年度における採用者総数は、23,315人(男性16,205人、女性7,110人)であり、令和4年度に比べ772人増加(男性157人、女性615人)している。採用者総数のうち、試験採用者は10,034人、選考採用等試験採用以外の採用者は13,281人(うち、再任用2,918人、任期付採用3,275人、特別職職員、地方公務員、行政執行法人職員以外の独立行政法人職員、国立大学法人職員又は大学共同利用機関法人職員及び公庫、公団又は事業団等職員(特・地・公等)からの人事交流による採用4,857人、国の機関におけるその他の選考採用2,110人、行政執行法人におけるその他の選考採用121人)となっている(図1-3)。
最近5年間の採用者総数を男女別構成比で見ると、女性の割合は徐々に増加しており、令和5年度は30.5%で、前年度に比べ1.7ポイント高くなっている(図1-4)
令和5年度の試験採用者を採用試験の種類別で見ると、総合職試験(院卒者試験)による者は270人(試験採用者全体の2.7%)、総合職試験(大卒程度試験)による者は505人(同5.0%)、一般職試験(大卒程度試験)による者は3,509人(同35.0%)、一般職試験(高卒者試験)による者は1,511人(同15.1%)、一般職試験(社会人試験(係員級))による者は19人(同0.2%)、専門職試験(大卒程度試験)による者は1,957人(同19.5%)、専門職試験(高卒程度試験)による者は2,161人(同21.5%)、経験者採用試験による者は102人(同1.0%)となっている。給与法適用職員について見ると、試験採用者は9,949人となっている。
(3)離職状況
離職とは、職員が職員としての身分を失うことをいい、定年退職、辞職(人事交流によるものを含む。)、免職、失職等である。
令和5年度の離職者総数は19,435人であり、前年度に比べ2,438人減少している。このうち、給与法適用職員は18,408人(前年度比2,349人減)、行政執行法人職員は298人(同101人減)となっている。
離職率(令和5年1月15日現在の在職者数に対する令和5年度中の離職者数の割合)は、給与法適用職員で6.7%、行政執行法人職員で4.2%、全職員で6.8%となっている。
3 特定官職(本府省の課長等)への任命等
本府省の課長相当以上の官職及び地方支分部局、施設等機関等のこれと同等の官職並びに行政執行法人の官職のうち人事院の定める官職(以下「特定官職」という。)に昇任、採用、配置換等を行う場合には、その職責の高さに鑑み、情実人事を求める圧力や働きかけその他の不当な影響を受けることなく、公正に任用が行われる必要があるため、職務遂行に必要な知識、経験、管理・監督能力等の有無を、経歴評定、人事評価の結果、その他客観的な判定方法により、公正に検証しなければならない。なお、特定官職のうち内閣による人事管理の一元化の対象となる官職以外のものに選考採用する場合等には、あらかじめ人事院と協議することとされている。
また、特定官職への採用、昇任等を行った場合(人事院にあらかじめ協議した場合を除く。)には、任命権者はその旨を人事院に報告することとされている。
人事院が定める特定官職の総数は、令和7年3月31日現在2,620あり、令和6年度中における特定官職への採用、昇任等に係る各府省からの報告は701人、協議はなかった。その内訳は表1-5に示すとおりである。

令和6年度特定官職(本府省課長等)への任命の報告・協議状況のCSVファイルはこちら
4 幹部職員人事の一元管理
「幹部職員の任用等に関する政令」(平成26年政令第191号)において、国家公務員でない者を採用する際の適格性審査に際し、「人事行政に関し高度の知見又は豊富な経験を有し、客観的かつ中立公正な判断をすることができる者の意見を聴くものとする」と規定されており、このような枠組みの下、内閣官房長官より、公務外からの採用者に関して、上記に該当する者として人事院人事官に見解を求められ、令和6年度においては1件について人事官が意見を述べた。
5 女性職員の採用・登用の拡大
国の行政への女性の参画は、男女共同参画社会実現のために政府全体として積極的に取り組むべき重要な課題である。
「第5次男女共同参画基本計画」において、政府全体の成果目標として、採用については、国家公務員採用試験からの採用者に占める女性の割合を毎年度35%以上、国家公務員採用総合職試験からの採用者に占める女性の割合を毎年度35%以上、国家公務員採用試験(技術系区分)からの採用者に占める女性の割合を2025年度までに30%とする目標が定められており、登用については、国家公務員の各役職段階に占める女性の割合を2025年度末までに、それぞれ本省係長相当職を30%、本省係長相当職のうち新たに昇任した職員を35%、地方機関課長・本省課長補佐相当職を17%、本省課室長相当職を10%、指定職相当を8%以上とする目標が定められている。
また、女性職員の採用・登用の拡大については、内閣官房内閣人事局長を議長に全府省の事務次官等で構成される「女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会」において、具体的な施策を盛り込んだ「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(令和6年1月改正)に基づき、政府全体で取組が進められている。
一方、人事院においては、政府の取組と連携しつつ、「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に向けて」(平成27年12月25日人事院事務総長通知)に基づき、各府省における目標達成に向けた取組を支援している。
このような状況の中、2024年度国家公務員採用試験の申込者に占める女性の割合については、総合職試験で42.1%、一般職試験(大卒程度)で42.5%と、いずれも過去最高の水準となった。採用については、図1―5のとおり、令和6 年度の総合職試験の採用者に占める女性の割合は35.6%であり、令和7年度の採用内定者は36.0%となっている。今後とも、優秀な女子学生等を公務に誘致するために、各府省と協力して行う人材確保策を強化していくことが重要である。

Ⅰ種試験・総合職試験の申込者・合格者・採用者に占める女性の割合の推移のCSVファイルはこちら
また、管理職等への登用については、図1―6 のとおり、各役職段階において、女性の占める割合が高まっている。今後とも、女性の採用拡大が女性職員の登用拡大につながるよう、各府省におけるより一層の取組強化が必要である。

各役職段階に占める女性の割合(行政職俸給表(一)、指定職俸給表)のCSVファイルはこちら
人事院では、各府省と連携して、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動を行うとともに、管理職等へのアプローチや女性職員へのアプローチを通じて、意識改革のための研修や女性職員が働きやすい勤務環境の整備等を行っている。
こうした取組を通じて、今後とも、女性職員の採用・登用の拡大に向けた各府省の具体的な取組を支援していくこととしている。
6 Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の幹部職員への登用
意欲と能力のある優秀なⅡ種・Ⅲ種等採用職員の幹部職員への登用を着実に推進するため、各府省においては、「Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針」(平成11年事務総長通知)に基づき、「計画的育成者」の選抜、育成に努めており、従前Ⅰ種採用職員が就いていたポストへの任用や出向ポストの拡大等、各府省それぞれの実情に応じた取組がなされている。また、人事院においては、「計画的育成者」の登用に資することを目的として、行政研修(特別課程)を係員級、係長級及び課長補佐級に分けて実施している。令和6年度においては、係員級では29府省から107人、係長級では25府省から114人、課長補佐級では24府省から52人の参加があった。
また、各府省の行政官を諸外国の政府機関等に派遣する研修制度である行政官短期在外研究員制度には、Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の登用を推進するための施策の一環として実施しているコースもあり、行政研修(係長級特別課程)の対象者である「計画的育成者」で、課長補佐級までの職員を対象としている。令和6年度は、3名を米国に派遣した。
令和5年度末におけるⅡ種・Ⅲ種等採用職員の幹部職員(本府省課長級以上)の在職者数は、指定職26人、本府省課長等140人、地方支分部局長等47人、外務省(大使・総領事)69人で、計282人となっている(表1-6)。
人事院は、これらの登用の状況を各府省に提供し、登用の啓発に努めている。

Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の幹部職員(本府省課長級以上)の在職者数の推移のCSVファイルはこちら
7 法科大学院等への派遣
各府省は、法科大学院派遣法、福島復興再生特別措置法、令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律又は令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律に基づき、職員をその同意の下に法科大学院、公益社団法人福島相双復興推進機構若しくは公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会又は公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会に派遣している。
令和6年度において法科大学院又は各法人に派遣された期間のある職員数は表1-7のとおりである。



