第1編 人事行政

第3部 令和6年度業務状況

第5章 職員の勤務環境等

第2節 健康安全対策

職員の健康の保持増進を図るとともに、職場の安全を確保するため、規則10-4(職員の保健及び安全保持)等を定めている。これらの規則に従い、各府省は健康安全管理のための措置を実施しており、制度の円滑な運営を確保するため、人事院が、総合的な指導、調整等を行っている。

1 健康の保持増進

(1)心の健康づくり対策

近年、長期病休者のうち、心の健康の問題による長期病休者が6~7割を占める状況となっており、心の健康に関し、職員の状況に応じて、1次予防(健康不全の未然防止)、2次予防(健康不全の早期発見、早期対処)及び3次予防(職場復帰支援、再発防止)の各取組を推進していくことがますます重要となっている。

こうした状況を踏まえ、人事院としては、「職員の心の健康づくりのための指針」(平成16年勤務条件局長通知)に基づき、以下のような各府省における職員の心の健康づくり対策に重点的に取り組んできている。

  1. ア 心の健康づくり研修の開催、職員の意識啓発のためのガイドブックの作成等、心の健康づくりの推進を図ってきている。令和6年度においては、10月に「国家公務員健康週間」の取組として、心の健康を含む各府省における健康施策の効果的な実施を図ることを目的に、「職員の健康の保持増進のための各府省連絡会議」を実施し、メンタルヘルス対策や職場環境改善、長期病休者の円滑な職場復帰のための支援等について、各府省と課題の共有及び意見交換を行った。さらに、メンタルヘルスに関するガイドブックやセルフケアに関する自習用教材を周知し、職員の意識を啓発した。

  2. イ 職員の心の不調を未然に防止することが重要であるとの認識に基づき、平成27年12月にストレスチェック制度を導入したところであり、各府省において実施されている。また、過度のストレスがなく、生き生きとした職場の実現を目指す職場環境改善について、平成28年11月に「「心の健康づくりのための職場環境改善」について」(平成28年職員福祉局長通知)を各府省に提示し、各府省のより積極的な取組を支援している。令和6年度においては、職場環境の改善に当たり、改善策の検討及び実施を支援する者等を対象にしたファシリテータ研修を人事院の各地方事務局(所)(全国3か所)において実施した。

  3. ウ 心の不調を早期に発見し早期に対処するための取組として、専門の医師等が対応し、各府省の職員、家族等が利用できる「こころの健康相談室」(対面又はオンラインで利用可能)を開設している。令和6年度における相談件数は、合計286件であった。

  4. エ 心の健康の問題による長期病休者の職場復帰及び再発防止に関して、専門の医師が相談に応じる「こころの健康にかかる職場復帰相談室」(人事院の本院及び各地方事務局(所)で対面で利用可能)を開設している。令和6年度における相談件数は、合計146件であった。

(2)精神及び行動の障害による長期病休者数調査

職員の心の健康づくりに関する施策の検討に資するため、一般職の国家公務員のうち、令和5年度において引き続いて1月以上の期間、精神及び行動の障害のため勤務しなかった者について、「精神及び行動の障害による長期病休者数調査」を実施した。この調査は、5年に一度実施している「国家公務員長期病休者実態調査」を実施しない年度に実施している。

令和5年度における精神及び行動の障害による長期病休者は5,683人(全職員の2.02%)であり、人数・率とも前年度より増加している。

(3)国家公務員死因調査

職員の健康管理及び安全管理の向上に資するため、令和5 年度中に死亡した一般職の国家公務員について「国家公務員死因調査」を実施した。なお、この調査は、3年ごとに実施しており、「国家公務員死因調査」を実施しない年度においては「国家公務員死亡者数等調査」を実施している。

令和5年度における在職中の死亡者は246人、死亡率(職員10万人に対する率)は87.5で、人数・率とも前年度より減少している。

2 安全の確保

(1)職場における災害の防止

職場における災害の発生を防止し、安全管理対策を推進するために、各府省から職場における災害の発生状況等について報告を受けており、取りまとめた災害状況については、各府省に情報提供し、類似の災害発生を防止するよう促している。

令和5年度に職場で発生した災害による常勤職員の死傷者(死亡者及び休業1日以上の負傷者)は232人(うち死亡者は6人)で、前年度に比べ減少している。

(2)設備等の届出等

各府省は、ボイラー、クレーン等安全管理上特に配慮を必要とする設備の設置等の際には、人事院に届け出ることとなっている。

また、エックス線装置についても、同様に届け出ることとなっている。

3 健康安全管理の指導及び啓発(国家公務員安全週間・健康週間)

健康安全管理の推進について、広く職員の意識の高揚を図るため、毎年7月1日から「国家公務員安全週間」を、10月1日からは「国家公務員健康週間」を実施している。各週間の実施に先立ち、人事院ホームページに実施要領を掲載して、各週間における取組等を周知した。さらに、安全週間の取組として、各府省の安全管理担当者による安全対策会議を人事院の本院及び各地方事務局(所)(全国10か所)で開催している。令和6年度は、人事院の本院でオンラインによる会議を開催したほか、本院及び各地方事務局(所)(全国10か所)において、各府省に対して安全管理に関する有識者講演の動画配信及び資料を配布し、安全対策等の周知徹底を図った。

4 原子力発電所等において発生した事故等への対応

東京電力福島第一原子力発電所の事故に対しては、規則10-5(職員の放射線障害の防止)及び規則10-13(東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等の除染等のための業務等に係る職員の放射線障害の防止)等により、除染等業務等に従事する職員の被ばく線量は測定が義務付けられており、引き続き職員の放射線障害防止に努めている。

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