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3 遺産相続とエンディングノート

(1) 遺言書と法定相続

どんなに健康な人でも、いつかは人生にピリオドを打つ日がやってきます。その時の遺産相続の問題は、お金持ちだけのものではありません。相続税がかからなくても、残された自宅や土地などをめぐって遺族の間で「相続争い」が起こることもあります。

相続については、貴重な財産が、配偶者や子供にスムーズに受け継がれるように、あらかじめ家族や親族と話し合っておくことが大切です。

皆さんが元気なうちに、民法上の「遺言書」を作成しておくことも一案です。「遺言書」は、民法に定める方式に従ったものでなければならない、記載内容が遺言事項として認められているものに限られるなどの条件がありますが、法的な効力がありますし、撤回はいつでもできます。
 
【遺言書の種類】

(注1) 実際に遺言書を作成する際は、公証人や弁護士等専門家に相談して作成することをお勧めします。
(注2) 「自筆証書遺言書保管制度」について、詳しくお知りになりたい方は、法務省ホームページ(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html)をご覧ください。

なお、いわゆる「遺書」というのは、自分の気持ちなどを伝える私的な文書であり、「遺言書」のような法的な効力はありません。

「遺言書」がなく、相続人による遺産分割協議で合意に達しない場合には、法定相続人に対して法定相続割合による遺産分割、相続が行われることとなります。

【法定相続人の範囲と順位】

(注)・死亡した人の配偶者は常に相続人となります。
         ・下位の人は上位の人がいない場合に初めて相続人になります。
         ・相続を放棄した人は、始めから相続人でなかったものとされます。また、内縁関係の人は相続人に含まれません。

【被相続人との関係による法定相続分の例】

(注) 法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

(2) エンディングノートの作成

皆さんは「終活」という言葉を聞いたことがあるかと思います。もともとの意味からすれば「人生の終わりのための活動」といったことになるかと思いますが、葬儀を含めた身支度というような狭い意味での準備だけではなく、最近では、より積極的に、「人生の終わりを見つめた準備を通じて、これからの人生をより一層充実させていくための活動」というような意味で使われることが多いようです。
 
この「終活」の具体的な実施方法の一つとして、「エンディングノート(終活ノート)」を作成し、その所在を家族と共有するという方法があります。ただし、遺言書とは異なり法的な効力はありません。
内容としては、

・遺言書の有無
・資産の状況(預貯金、年金、不動産、株式・投資信託など)
・生命保険の加入状況
・パソコンなどの起動時のパスワード
・負債の状況(借入金・ローン)
・クレジットカード情報
・親戚・知人・友人一覧(弔辞の連絡先)
・介護の方法
・病名の告知や延命措置希望の有無
・葬儀や埋葬先の希望

などを書き残しておくことで、単なる自分自身の覚え書きとしてだけではなく、自分自身がこれから行わなければならないことの洗い出しや、万一の時に、残された家族が様々な手続や判断をする上で困らないというメリットがあります。
特に、生前に葬儀の予約をする場合や、お墓を建てる場合などには、家族や親類などに予めその内容を伝えておくことも必要になります。
 
なお、スウェーデンで「人生のゴールが見えてきたときに始めるお片づけ」のことを指しているといわれている「終いじたく(Death Cleaning)」という考え方もあります。これは、身のまわりをひととおり掃除して、整理して、これからの暮らしの秩序を整え、すっきりすることによって、これからの暮らしが楽になるというような考え方です(マルガレータ・マグヌセン著『人生は手放した数だけ豊かになる』)。自分自身の「終活」を考える上で参考になる視点かと思います。
(参考)

【配偶者居住権】令和2(2020)年4月1日施行

配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。

これは、建物についての権利を「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」に分け、遺産分割の際などに、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得することができるようにしたものです。上記のとおり、配偶者居住権は、自宅に住み続けることができる権利ですが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に貸したりすることができない分、評価額を低く抑えることができます。このため、配偶者はこれまで住んでいた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになり、配偶者のその後の生活の安定を図ることができます。(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00028.html

【遺産分割前の相続預金の払戻制度】令和元(2019)年7月1日施行

従来は、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済など、お金が必要になった場合でも、相続人は遺産分割が終了するまでは被相続人の預貯金の払戻しができないという問題がありました。そこで、このような相続人の資金需要に対応することができるよう、遺産分割前にも預貯金債権のうち一定額については、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関で払戻しができるようになりました。
 




 


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