4 求人情報の収集

再就職をすることに決め、実際に行動を起こしてから適職(再就職先)が見つかるまでに、最低でも3か月、一般的には半年から1年程度かかると言われています。何となく「再就職したい」と思っているだけでは、なかなか再就職先を見つけることはできません。

(1) 企業が求める高齢者

企業は再就職者に対して即戦力となることを期待しています。企業の人事担当者は、どんな人にきてもらいたいと考えているでしょうか。いろいろな求人情報誌に掲載されている民間各社の人事担当者の「我が社に欲しい人材(主に中途採用者)」を抜粋すると、次のようなことが挙げられています。

  • 積極的で改革心を持ち、柔軟な思考ができる人材
  • 高いコミュニケーション能力を持つ人材
  • チームワークを活かせる人材
  • “幅広い視野”と“主体的な行動力”を持つ人材
  • 好奇心が旺盛で、物事に対して広く興味の持てる人材
  • あれこれ考える前に一歩を踏み出せる人材
  • 困難な課題の解決や新しい価値創造に挑戦できる人材
  • 徹底したお客様志向の考え方ができる人材
  • 大きな夢を持って実行できる人材
  • スピード、継続力、変化対応力を持つ人材
  • 明確なキャリア・ビジョンを描き、自分の意志で進んで行動する人材
  • 気力・体力・向上心を持つ人材
  • 何かひとつ得意な分野があり、前向きな人材
  • 明るく、人と接することが好きな人材
  • 自ら考え知恵を出し、行動する人材
  • 情熱・熱意・執念を持って取り組める人材
  • プロフェッショナルを目指す人材
  • プロフェッショナルとしての能力と意欲を持ち、絶えず挑戦し続ける姿勢を持つ人材

これらの例に見られるように、企業の人事担当者は「求める人物像」を具体的に絞っていることが多く、募集職種に応じて、そのポストに必要な基礎的知識、能力はもちろんのこと、それ以外にも「やる気」、「行動力」、「情熱」といったプラス・アルファを求めていることが多いようです。

特に再就職者や中途採用者に対しては、業務上必要となる基本的な能力は既に身に付いており、すぐにでも仕事が始められることを前提として採用面接が行われることになりますので、「自分は○○が出来ます」、「△△△については既にスキルを持っています」というように、これまでの職務経験で培った能力・技術などの即戦力を相手に訴えるとともに、それにとどまらないプラス・アルファを持っていることをアピールすべきです。

ちなみに、「企業の求める職業能力・人材に関するニーズ調査」結果によれば、企業が中途採用に当たって人材として特に重視する事項は、「人柄」、「職業、キャリア、実務経験」、「技能・技術」の順に高くなっています。
 



 【企業が中途採用に当たって、人材として特に重視する事項】(複数回答)
   



(2) 求人情報の所在とその見方

ア  ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークは、地域の総合的雇用サービス機関として、求人情報の提供や窓口での職業相談・職業紹介などのサービスを無料で行っています。管轄地域だけでなく、近くのハローワークの求人情報についても公開しており、仕事を持たない人ばかりでなく、在職中でも、就職情報を得るために利用することができます。平日の夜や土曜日に利用できる施設も増えています。

求人情報は、ハローワークの窓口でも提供するほか、ハローワーク内に設置されたパソコン(検索・登録用端末)で検索することもできます。自宅のパソコンやタブレット、スマートフォンからも検索できます(ハローワークインターネットサービス)。
 

《ハローワークを利用する際の流れ》
 

① 求人情報を探すには、まず、次のいずれかの方法で求職の申込みをします。

  • 自宅のパソコン等からハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/)にアクセスし、求職情報を入力し(仮登録)、ハローワークの窓口で求職申込み手続を行う。
  • ハローワーク内に設置されたパソコン(検索・登録用端末)で求職情報を仮登録してから、窓口で求職申込み手続を行う。
  • ハローワークにある「求職申込書」(筆記式)に、氏名や住所、学歴/資格、経歴等のほか、希望する就業形態、職種、勤務地、賃金などの必要条件を記入し、窓口に提出する。
② 受理されると「ハローワーク受付票」が交付されます。「ハローワーク受付票」には求人情報の検索の際に必要となる求職番号が記載されており、相談や希望求人の紹介の際に必要となりますので必ず持参し、紛失しないように注意します。このカードを提示することで、全国のハローワークを利用することができます。
     なお、求職申込みは、原則として受理した日の翌々月の末日まで有効となります。

③ ハローワークの窓口では、求職活動の方法など、就職に関する多様な相談に応じるとともに、これらに関する無料のセミナーも多数用意しています。そのハローワークに申し込まれた求人はもちろん、全国の求人の中から職員と相談しながら一緒に求人を探すこともできます。
     また、地域の求人については、求人情報検索パソコンや職種ごとにまとめたファイル等による公開もしており、更に詳しい個々の求人内容や条件等について窓口にて情報提供しています。

④  ハローワークインターネットサービスでは、インターネットによる求人検索サービスを利用することができます。自宅のパソコン等で、全国のハローワークの求人情報を見ることができるシステムです。 検索の結果、興味のある求人情報があった場合には、その「整理番号」等を控えた上で、ハローワークに出向いて相談します。

⑤ 応募したい求人が決まった場合には、その会社の紹介を受けるとともに、応募書類や面接等に不安がある場合は、具体的な相談をすることができます。紹介された会社の面接の際には、ハローワークで渡される「紹介状」を持参します。
 


ハローワークインターネットサービス(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/

・ 仕事を探す

全国のハローワークで受理した求人を検索できます。また、学生の方や障害のある方も、こちらから検索できます。

なお、「求職者マイページ」を開設すると、自宅のパソコン等から、

•求人情報検索(検索条件の保存など)
•求人への直接応募(オンライン自主応募)
•求職活動状況の確認(応募中の求人や選考が終わった求人の確認)
•登録した求職者情報の確認・変更
•メッセージ管理

などのサービスを利用することができます。

・ ハロートレーニング(職業訓練)を探す

ハロートレーニングは、雇用保険(失業保険)を受給している求職者を主な対象とする「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない求職者を主な対象とする「求職者支援訓練」の総称です。キャリアアップや希望する就職を実現するために、必要な職業スキルや知識を習得することができる公的な制度です。働こうとする方、働く方すべてが対象です。これから就職を目指す方であれば、失業中の方だけでなく、働きたいのにキャリアが少ない方等、状況は問いません。また、障害をお持ちの方、学卒者の方、スキルアップをめざす在職者の方向けの訓練も用意しています。

なお、受講を希望する場合には、住居地を管轄するハローワークにお問い合わせください。
 



イ 民間の人材紹介会社

公的機関のほかにも民間の人材紹介会社があります。多くの場合は、人材紹介会社が求人企業から手数料を徴するため、登録、相談の費用が無料で、大都市圏を中心に数多くの会社があります。会社によってシステムは多少異なりますが、基本的にはそれぞれの会社指定の様式に、履歴、職歴、希望職種、希望収入等を記入し登録します。希望に合った企業があれば紹介されたり、場合によってはアドバイスを受けることができます。

人材紹介会社によって対象とする得意分野(一般事務、営業等)があるので、確認した上での利用が効率的です。

ウ 新聞の求人欄等による求人情報

新聞のメリットは情報の新鮮さ、身近さです。一般的には土曜日と日曜日(場合によっては月曜日)の朝刊に求人特集を組むことが多いので、掲載内容に注意します。金融は経済新聞、飲食関係はスポーツ新聞、外資系は英字新聞というように各新聞ごとに求人広告の掲載企業には特色があります。UターンやIターンを希望する場合には、地方新聞を入手して情報を得ます。また、宅配の新聞の折り込みチラシには、地元企業を中心とした求人情報が掲載されています。

新聞等の求人広告の難点は、個々の求人の情報量が少ないことです。具体的な募集条件、労働条件などは、担当者に直接電話などで問い合わせる必要がありますが、その電話自体も面接となり得ますので、その心構えと準備が必要です。

エ 求人情報誌

発刊日や発刊間隔はそれぞれ異なりますが、すべてのページが求人情報であるため、件数は格段に多くなります。一般事務職、営業職、販売職といったように職種別や地域・沿線別に分類、整理されて掲載されているので、効率的に利用することができます。求人広告は、おおむねコンパクトで見やすく分かりやすい表現をしていますが、掲載スペースによっては、内容説明が不充分な場合もあります。

オ インターネットの活用

インターネット上で様々な求人情報を得ることができます。就職情報会社のホームページ、求人情報専門サイトなどのほか、職種や勤務地、賃金、労働時間など条件ごとに検索できる機能を有するサイトもありますので、それらを利用すれば、情報を簡単かつ大量に入手することができますし、企業のオフィシャルページにアクセスするといった方法もあります。
 

 (3) 求人情報収集の留意点

求人情報には、就職先を検討する際に必要な情報が掲載されています。次のような項目について、自分の希望や条件と合うかどうかを検討して確認します。
 
(募集職種)
 従事する職種名、職務内容です。職種名のみで職務内容が明示されていない場合には、職務内容を確認します。
 
(勤務地)
勤務場所や交通手段、最寄り駅、駅からの時間などです。勤務地が複数書かれている場合は、その中から自分が選べるのか、企業の指示に従うのか、また、転勤の有無についても確認します。
 
(応募資格)
募集に当たっての最低限の応募要件です。ほとんどの企業は、資格の有無、経験の有無、経験年数、学歴等の条件を指定しています。しかし、これらの条件は絶対的なものではなく、目安としている場合も多いことから、条件に当てはまらないからとあきらめないで、まず応募してみて企業の反応を待つという方法があります。熱意と能力があり、企業が「この人をぜひ欲しい」と思えば、採用される可能性もあります。
 
(待遇)
雇用形態(正社員か契約社員か、有期雇用か無期雇用か)、賃金(賃金形態(月給、日給、時給等の区分)、基本給)、各種手当、昇給、賞与、社会保険の加入状況などです。
 
(勤務時間・休憩)
始業及び終業時刻がある程度自由に選べる場合でも、コアタイムという必ず勤務していなければならない時間があることが一般的です。
 
(休日・休暇)
所定の休日・休暇です。
 
(応募方法)
企業によって、連絡の方法や提出書類が異なることがあるので、注意が必要です。
 
(企業名、所在地、連絡先)
募集企業の所在地、電話番号、担当者名などです。
 

(4) 志望企業に関する情報の集め方

求人情報を見て自分の希望に近い企業が見つかった場合、その企業についてできるだけ多くの情報を集めることが重要です。企業が発行している「会社案内」、インターネットによる企業のホームページ、「会社四季報」などの情報誌を活用して情報を収集します。

また、その企業だけでなく、その企業が属する業界の情報を、新聞の経済面や経済誌、業界新聞などで集めておくことも必要です。志望企業が業界の中でどのような位置にいるかを知ることで、その企業の将来性を予測したり、再就職後の将来の可能性を探ることができます。しかしながら、一人で集められる情報は限られています。同じように再就職活動をしている友人などと情報を交換するのも一案です。求人情報などを共有するだけでなく、再就職についての疑問や悩みを話し合うことで、再就職に対する不安を和らげることができます。
  

(5) 志望企業を決める際の留意点

ア 新規・成長分野の企業、中小企業を敬遠しない

新規・成長分野の企業は、組織としての歴史が浅いことから、内部で育成すべき人材が不足しがちとなり、実務経験が豊富な人材や内部管理に熟達した人材を外部に求めることも多いようです。規模が小さい企業も、公務で培ってきた知識や経験が、比較的活用できると考えられる職場といえます。知らない業界や企業だから、規模が小さいからと敬遠することはありません。自分の経験や能力を活用できる自分に適した企業かどうか、納得のいく仕事ができるかといった観点から、志望企業を決めるようにします。

イ 募集条件を絶対視しない

民間企業では、一般的に50歳までは転職、それを過ぎると再就職として取り扱われることが多くなります。転職であれば、その企業の中枢業務を分担して定年まで勤務し、再就職であれば、補助的業務を担当して65歳まで勤務するなどと、雇用形態を分けて考えている企業もあります。したがって、例えば、定年を下回ることを条件として募集をしている場合であっても、それは転職者のための制限であって、再就職者としてであれば年齢制限をせずに採用される場合もあるので、自分の年齢が制限を超えていても、再就職を希望する企業に誠意を持って「働きたい」という意思を伝えてみるべきです。


応募書類の書き方】   (PDF)
【採用面接のポイント】  (PDF)


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(参考1)【再就職等規制】

国家公務員の再就職については、公務の公正性に対する国民の信頼を確保するため、平成19年に改正された「国家公務員法」(以下「法」という。)において、次の3つの規制が設けられています。


いずれも、違反した場合には、懲戒処分、場合によっては刑事罰又は過料の対象となります。

★ 求職活動を行うに当たっては、②のとおり、利害関係(許認可、補助金、検査関係、行政指導の有無など)に注意し、判断に迷う場合には、必ず在職機関の退職管理担当部局に確認してください。内閣府官民人材交流センターでは、再就職を希望する国家公務員の情報と民間事業主の求人情報を相互に提供する「求人・求職者情報提供事業」を実施していますので、そちらの利用も検討してください。
★ 再就職した後は、③のとおり、元の職場に対して働きかけを行わないようにしてください。

再就職等規制又は「求人・求職者情報提供事業」のより詳しい内容については、内閣府の再就職等監視委員会又は官民人材交流センターのHPなどを御覧ください。

 【内閣府再就職等監視委員会事務局】(https://www5.cao.go.jp/kanshi/)
    〒100-0004 千代田区大手町1-3-3大手町合同庁舎3号館9階
    電話:03-6268-7657(直通)

 【内閣府官民人材交流センター】(https://www8.cao.go.jp/jinzai/
      〒100-0004 千代田区大手町1-3-3大手町合同庁舎3号館9階
      電話:03-6268-7669(直通)
 


(参考2)【募集・採用活動で禁止されている事項】
1 年齢制限

平成19年に改正された「雇用対策法」により、事業主が募集・採用する際には、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。ただし、定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合、60歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合等、一定の場合は、例外的に年齢制限が認められます。

なお、募集・採用の際には、原則として年齢を不問としなければならず、この年齢制限の禁止は、ハローワークや人材紹介会社に求人を申し込む場合などのほか、広く募集・採用する場合に適用されます。

2 性別を理由とする差別

「男女雇用機会均等法」により、労働者の募集・採用については、性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています。性による差別的取扱いは禁止されており、例えば、次のような求人はできないこととなります。
  • 総合職、営業職、大卒技術系などの募集で、男性のみを対象とすること
  • 営業マン、ウエイターなどの男性を表す職種や、生保レディ、ウエイトレスなど女性を表す職種で募集すること
  • 「男性55歳未満、女性45歳未満」などのように、応募できる年齢の上限に男女の差をつけること
ただし、次のような合理的な理由に基づくものと認められる場合は、適用除外とされます。
  • 俳優、モデルなど、芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から一方の性に従事させることが必要である職業
  • 守衛、警備員など、防犯上の要請から男性に従事させる必要がある職業
3 障害者であることを理由とする差別

平成28年に改正された「障害者雇用促進法」により、労働者の募集・採用において、障害者であることを理由に差別することは禁止されています。


 

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